上司と次席のメンバーだけが話し、他のメンバーは沈黙 。そんな「上の人だけが話して終わる会議」、職場で起きていませんか? 実は、会議の「進め方」こそが、指示待ちの部下を育てている元凶かもしれません。本記事では、尾澤まりこ氏の著書『1ON1に悩む管理職必須スキル コーチング思考』(ごきげんビジネス出版)より、会議の質を格段に変え、部下の主体性を引き出す「コーチング思考」の活用法を解説します。
「上の人だけ話して、気がついたら、会議がおわってました」…部下を置いてけぼりにする上司が“もっていない”能力 (※写真はイメージです/PIXTA)

チームメンバーの成長が重視される会議

では、コーチング思考を習慣化しているチームリーダーのもとでは、どのような会話が繰り広げられていくのでしょうか?(パターン2)

 

チームメンバーAさん「顧客からのアンケート評価が非常に低いのが課題です。どうすればもっといい評価を得られるでしょうか?」

 

コーチング思考を習慣化しているリーダー「それは重要な課題ですね。皆さん、顧客からのよい評価を増やすためには、どんなアイデアがあるかな? フラットになんでも出してみようか」

 

チームメンバーAさん「お客さまの声をより知るためにいまやっているアンケートだけでなく、定期的ミステリーショッパー(覆面調査)を行うことができます。また、お客さまにアンケートを行うプロセスを簡素化する方法も考えられます」

 

コーチング思考を習慣化しているリーダー「それは素晴らしい提案です。ほかにもアイデアありますか?」

 

チームメンバーBさん「お客さまとの定期的な対話を強化するために、カスタマーサポート部門と連携する方法もあります。カスタマーサポート部門との連携は、アンケートを収集するのに役立つと思います」

 

コーチング思考を習慣化しているリーダー「ありがとうございます。それらのアイデアは素晴らしいです。ほかには、どんなものが考えられる?」

 

メンバー全員……。(思いつかずに下を向く)

 

コーチング思考を習慣化しているリーダーは、このような状況になっても焦らず対処します。きっとこのように切り出すかもしれません。

 

コーチング思考を習慣化しているリーダー「では、次のステップに行く前に、この新規プロジェクトのあるべき姿の話をします。そもそも、このプロジェクトの理想の姿は、どんなものだっけ?」

 

コーチング思考を習慣化しているリーダーは、自分の指示やアドバイスよりも、チームメンバーの成長やチームが目指している姿を共有することに重点を置きます。

 

コーチング思考を習慣化していないリーダーは、その課題や問題点にばかり目がいき、チーム全体の広い視野を育てることができません。結果、いつも最初から最後まで指示やアドバイスをしなければならず、そのようなリーダーのもとでは次のような意見が蔓延しがちです。

 

●リーダーがすべて解決してくれる。

●困ったことがあれば、リーダーに聞こう。

●リーダーに聞くのがいちばん楽だよね。

 

そのようなチームメンバーを知らず知らずに育成していきます。パターン1のチームリーダーのもとでは、他責の部下が育ちます。なぜなら、自分で考えるより教えてもらうほうが楽ですよね。残念ですが、人は楽なほうに流れていきます。