「部下のモチベーションが低い」「キャリアに悩んでいる」「チーム内で対立が起きている」……こうした職場のあらゆる問題を解決する鍵が、未来から逆算する「コーチング思考」です。コーチング思考とは、未来から逆算して現在地点を確認し、行動を合理的に積み重ねていく方法です。本記事では、尾澤まりこ氏の著書『1ON1に悩む管理職必須スキル コーチング思考』(ごきげんビジネス出版)より、1ON1でのキャリア相談からチームビルディングまで、コーチング思考を個人やチームの目標設定に活かす具体的な5つの活用場面を解説します。
「どんな仕事をしたいかわからない」「自分の強みがわからない」1ON1で相談してきた部下…上司がしてはいけない〈NGな問いかけ〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

個人やチームの目標設定に活用する方法

ここからは、会社のなかで個人やチームの目標設定にコーチング思考を実践する方法を考えていきたいと思います。
コーチング思考は多くの異なる場面とシチュエーションで有用です。いくつかの事例を挙げつつ、コーチング思考の活用場面を詳細にお伝えしていきます。

 

1.自身や部下のキャリアの探索

ある若手従業員Aさんは、自分のキャリアについて不安を感じています。彼女には次の悩みがあります。

 

●今後会社のなかでどんな仕事をしたいかがわからない。

●自分の強みは何かがわからない。

 

コーチング思考を使い、Aさんと対話し、彼女の興味や価値観、スキルを探求します。相手が「はい」「いいえ」で答えるクローズドクエスチョンではなく、相手が多く話せるオープンクエスチョンを通じて、Aさんが自分自身について深く考え、将来の職業的な目標を設定できるプロセスを支援できます。

 

2.リーダーシップとパフォーマンスの向上

チームリーダーのBさんは、最近チームのモチベーションとパフォーマンスに問題があることに気づきました。

 

Bさんはコーチング思考を用いてチームメンバーと1ON1を実施。チームメンバーに対してオープンな対話を促します。チームメンバーは目標設定や個人的な課題を共有し、Bさんはチームメンバー各人が成功するためのサポートを提供することが可能です。

 

3.問題解決

あるプロジェクトチームは進行中の問題に直面しており、解決策を見つける必要があります。

 

チームメンバーはみんなで集まり、コーチング思考を使い、問題の本質的な要因を明確にし、オープンな質問を使って多角的に問題を捉えて具体化していきます。チームは共同で解決策を見つけ、行動プランを策定します。