上司と次席のメンバーだけが話し、他のメンバーは沈黙 。そんな「上の人だけが話して終わる会議」、職場で起きていませんか? 実は、会議の「進め方」こそが、指示待ちの部下を育てている元凶かもしれません。本記事では、尾澤まりこ氏の著書『1ON1に悩む管理職必須スキル コーチング思考』(ごきげんビジネス出版)より、会議の質を格段に変え、部下の主体性を引き出す「コーチング思考」の活用法を解説します。
「上の人だけ話して、気がついたら、会議がおわってました」…部下を置いてけぼりにする上司が“もっていない”能力 (※写真はイメージです/PIXTA)

会議でコーチング思考を応用する

上司がコーチング思考をもっているかいないかで、会議の質は格段に変化します。コーチング思考は会議やビジネスのコミュニケーションに非常に有用なアプローチです。コーチング思考では、まず未来の視点に軸を置いて、「本来の自分はどこに向かおうとしているのか?」「このチームの最も理想の姿は何か?」を基軸に理論を進めることができます。もしこれが、チームの問題点や課題点にのみフォーカスしていると、会議の議論が脇道にそれてしまう可能性があります。

 

チームでミスが頻発しているとしましょう。ミスの削減のみの話をするだけではなく、そもそも自分たちのチームがどのような目的で仕事をして、どこに行こうとしているのか? 目指していることは何か?など、理想の姿、目指すべき姿をみんなで話し合い、合意形成を行うのです。それにより、課題解決の結果のみならず、そのプロセスにおける過程で、チームメンバーが自分たちでそこに参加している、というチームに対する帰属意識が芽生え、チームの結束力や相互の対話を可能にし、参加型のチームの形成を容易にします。

部下「気がついたら、おわってました」…上の人だけが話してしまう会議

コーチング思考が身につけられていないチームリーダーの場合の会議は、次のように進むかもしれません(パターン1)。

 

チームリーダー「皆さん、きょうの会議ですが、新しいプロジェクトの課題について話し合いたいです。まず、どんな問題がありますか?」

 

チームメンバーAさん「顧客からのアンケート評価が非常に低いです。どうすればもっといい評価を得られるでしょうか?」

 

チームリーダー「それは、どこに問題があるの?」

 

チームメンバーAさん「それがよくわからないんですよね」

 

チームリーダー「じゃあ、こんなことをしてみたらいいんじゃない?」

 

チームメンバーAさん「わかりました。やってみます」

 

ほかのメンバーは一切発言しません。チームメンバーAさんは、チームリーダーの次席の地位にいます。上の人だけ話して、または一部の人だけ話して、会議がおわってしまう。このような会議、あらゆるところに存在しませんか?