(※写真はイメージです/PIXTA)
高収入でも老後の計画が重要なワケ
しかし、以下のような理由から、計画を立てることは非常に重要です。
人生100年時代への対応
平均寿命が延びるなか、「長生きリスク」が高まり、老後期間の長期化によって、より多くの資金が必要になります。
老後2,000万円問題
夫婦2人の無職世帯では、老後30年間で約2,000万円が不足するという試算が公表されており、これは高収入者であっても無関係ではありません。特に老後も家計支出が減らせない家庭や昨今の物価高の影響を考えると、2,000万円という数字をそのまま鵜呑みにするのではなく、各家庭で不足額を算出する必要があります。
年金制度への過度な期待は禁物
公的年金だけでは生活費を賄いきれない可能性があり、公的年金に加えて自助努力による資金形成が不可欠です。特にフリーランスになると、厚生年金から外れるため、より計画的な備えが求められます。
IT業界の“退職金格差”に要注意
近年では人材獲得競争の激化に伴い、退職金制度を導入するIT企業が増えてきています。そうはいっても、IT業界では、ほかの伝統的な産業と比較すると、退職金制度が十分に整備されていない企業が多い傾向にあります。従業員としては、退職金制度の有無について、確認しておかなければいけません。IT業界で退職金制度が浸透しにくい背景には、次のような理由があります。
〇資金不足:IT企業は新しい企業も多いですが、スタートアップ企業や零細企業では、経営が安定するまでのあいだ、福利厚生にまで資金を回す余裕がない場合があります。
〇制度設計の遅れ:設立間もない企業では、会社の制度設計自体が追いついていないケースも少なくありません。
〇流動性の高さ:IT業界の人材はキャリアアップやよりよい条件を求めて転職・独立する人が多いため、長期勤続を前提とした退職金制度の必要性が薄いと考える企業もあります。
退職金制度の種類
退職金制度にはいくつかの種類があり、企業によって導入している制度が異なります。自身の企業に退職金制度がある場合、どういった種類の退職金制度なのかも知っておきましょう。
退職一時金制度:退職時に一括で支給する制度
支給額は勤続年数や役職、業績などに応じて決まることが多いです。
企業年金制度:年金形式で定期的に分割して受け取る制度
・確定給付企業年金(DB):企業が運用リスクを負い、従業員には将来の給付額が確定しています。
・確定拠出年金(DC):企業型確定拠出年金は企業の福利厚生や退職金制度として運用される制度です。企業が毎月掛金を拠出し、従業員自身が運用します。将来の給付額は運用結果によって変動するため、従業員の運用知識が求められます。
退職金共済制度:中小企業向けの制度
企業が毎月一定額を積み立て、退職時にその積立額に応じた金額が支払われます。
前払い制度:毎月の給与や賞与に上乗せして支払う制度
退職金制度がない、または金額に期待できない場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)、小規模企業共済(フリーランス向け)などを活用して、自分で老後資金を増やす努力が必要です。これらの制度は税制優遇が受けられるため、効率的な資産形成に役立ちます。