高いスキルと高収入。IT業界は、多くの人にとって魅力的なキャリアパスかもしれません。しかし、その「高給」こそが、老後破産を招く最大の“罠”であるとしたら……。本記事では、Aさんの事例とともにIT従事者特有のキャリアパスに潜む、老後資金の深刻な落とし穴について、IT講師兼FPの川淵ゆかり氏が解説します。
〈年収1,200万円〉〈タワマン住み〉38歳エリート未婚男性、マッチングアプリで出会った婚約者に“通帳”を見せたら…彼女が「なにも言えない」と黙りこくったワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

キャリアの多様性からくる「保障への見落とし」

IT業界では、キャリアアップのための転職やフリーランスへの独立が一般的ですが、その際に企業の退職金制度や企業型確定拠出年金、健康保険組合などの福利厚生が利用できなくなることを見落としがちです。特にフリーランスになると、公的年金が国民年金のみとなってしまい、会社員に比べると年金受給額が減少する可能性が高くなることに注意しましょう。

 

また、現代では、60代でも現役で活躍するITエンジニアもいるため、「自分も長く働けるだろう」と、過度に労働収入に依存した住宅ローン設計や老後資金設計をしてしまう人もいるようです。しかし、健康状態の変化や技術トレンドの急速な変化によって、労働収入が突然途絶えるリスクにも備える必要があります。

 

高収入であっても、将来の安心は“設計”しなければ得られません。いまこそ、自分の暮らしと資産形成を見つめ直すタイミングです。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表