働く人であれば、誰もが楽しみにしている給料日。 物価高でいつもは節制している人でも、この日ばかりは財布の紐が緩むこともあるのでは。 そんな給料日後に目撃したこととは、どのようなものだったのでしょうか。 ある女性のケースをみていきます。
会社の給湯室で…〈月収33万円〉32歳同僚、給料日後の「まさかの奇行」に唖然。周囲もドン引きの極度な節約術 (※写真はイメージです/PIXTA)

「節約」は目的か、それとも手段か

斎藤さんのように、節約そのものが目的化してしまうケースは、決して珍しいことではないようです。 しかし、節約は本来、より豊かな生活を送るための手段であるはずです。 金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)』によると、単身世帯が金融資産を保有する目的(貯蓄目的)は、「老後の生活資金」が最も多く、次いで「病気や不時の災害への備え」「とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心だから」と続きます。 多くの人が「将来の安心」という目的のために節約や貯蓄に励んでいます。

 

一方で、マイボイスコム株式会社が今年1月に行った調査では、「節約をした(かなり節約した、まあ節約したの合計)」と回答したのは59.6%。 節約の理由として最も多かったのは「物価上昇」が40.9%。 次いで「将来の生活に備えて」が34.9%、「収入が少ない・減った」が24.8%と続きます。 一方で、「以前からの習慣」(9.9%)という人も。 斎藤さんの「数字が増えるのが楽しい」という感覚は、この「習慣」と回答した人たちに近いのかもしれません。

 

しかし、節約が「幸福」につながっているかというと疑問が残ります。 内閣府『満足度・生活の質に関する調査報告書 2024』によれば、総合的な生活満足度には「家計と資産」といった経済的側面も影響を与えますが、それだけが幸福度を決めるわけではありません。

 

会社の備品(水道やハンドソープ)を私的に利用してまで節約を追求する行為は、社会人としてのマナーを逸脱していることはさておき、その結果、中村さんや周囲の同僚から「ドン引き」され、職場での人間関係を損なっている可能性も。 良好な人間関係、社会との繋がりは、幸福度を左右する重要な項目です。 中村さんから「幸せなのかな」と疑問符がついても当然だといえるでしょう。

 

「もちろん、貯金が趣味で、残高が増えていくことに幸せを感じるなら、それでいいんですけどね。ただ私には真似できないです、あそこまでの節約は」

 

[参考資料]

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)』

マイボイスコム株式会社『【くらしと節約に関する調査】昨年経費を節約した人は6割弱。節約の理由は「物価上昇」が4割強、「将来の生活に備えて」が約35%、「収入が少ない・減った」が約25%』

内閣府『満足度・生活の質に関する調査報告書 2024』