(※写真はイメージです/PIXTA)
父の危険な運転に息子が進言も、まさかの剣幕
瀬川健一さん(48歳・仮名)。帰省した際、父・昭雄さん(77歳・仮名)が運転する車の助手席に座ったときのことを振り返り、「本当に恐ろしい……」とポツリ。
一緒に、近所のスーパーに買い物にいったときのこと。スーパーの駐車場から国道に出ようとした瞬間、左から猛スピードで直進してきたトラックが、すれすれを通過していったといいます。ハンドルを握る昭雄さんは、「おぉ、危なかった」と悪びれずに笑っていましたが、健一さんの背中は冷や汗でびっしょり。
駐車場で車を停める際も、何度もハンドルを切り返し、あわや隣の車にぶつけそうになる場面がありました。明らかに、かつての父とは違います。空間認識能力や、とっさの判断力が鈍っているのは明白でした。「これは放っておけない」と、夕食後、健一さんは意を決して、本題を切り出しました。
「父さん。今日の運転を見ていて、本当に心配になった。もう77歳だし、周りのためにも、父さんのためにも、免許の返納を考えてくれないか」
その瞬間、穏やかだった昭雄さんの表情が一変しました。
「免許を返納しろだと、お前、本気で言ってるのか、ふざけるなよ! 車がなかったら、ここでどうやって生きていけというのだ?」
自宅から最寄りのバス停まで徒歩20分。そのバスも1日に6本ほどだけ。自家用車なしでは、とても暮らしていけない。過疎化が進む健一さんの故郷。事情はわかっていました。だからといって、事故が起きてからは遅すぎます。
しかし昭雄さん、相当プライドを傷つけられたのか、怒りが収まりません「年寄扱いするな!」「死ねというのか!」などと、罵詈雑言が止まらず……健一さん、父の様子に圧倒され、何も言えなかったといいます。
「すごい剣幕で怒るもんだから……確かに田舎では車がなければ、生活の質はかなり低下してしまいます。しかし、あんな状況で車を運転するなんて」
本来は子どもが親を説得するべきかと思いつつも、なかなか止めることのできない現状。どうしたらいいのか、解決策を見いだせず、ただため息をつくしかないといいます。