(※画像はイメージです/PIXTA)
想定より多すぎる固定費の流出
違和感を覚えたのは、入居3ヵ月目に届いた、管理会社からの最初の請求書でした。
管理費 月2万8,000円
修繕積立金 月3万2,000円
駐車場(タワーパーキング) 月5万円
共用施設維持の特別会費 月1万円
合計金額は月12万円です。住宅ローン(月約37万5,000円)と合わせると、住居費だけで月約50万円が、毎月確実に口座から引き落とされていくことになります。手取り90万円から50万円が差し引かれ、生活費は40万円です。このなかから貯蓄と資産運用の原資を捻出することは少し難しくなります。
マンション購入時に相談したFPからは「ローン返済と並行して積立運用を行えば、老後資金も同時に形成できる」と勧められ、月掛け7万円の変額保険に加入しました。しかし、実際に生活が始まるとその掛け金の非現実さに気づきました。「そもそもそんな高い保険なんか続けられない」解約返戻金がほとんどゼロなのを承知で、解約するしかなさそうです。
ボーナスは2人合わせて350万円ほどの手取りですが、夫Aが所有するBMWのローン返済もあります。「自動車はもう売らなきゃならないかもしれない」しかし自動車のリセールなど購入金額と比べたら雀の涙ほどです。
「維持費の金額はなんとなく聞いていたけれど、こんなボリュームだとは想像していなかった……」妻Bさんは不安が隠せません。FPは維持費のことをライフプラン上で計算に入れていなかったのか、入れたとしてもごく少額だったのでしょう。
「あのFP……きっと賃貸暮らしで持ち家を買ったことがないだろうな。イニシャルコストで資産価値を語っても机上論に過ぎないよ。きっとマンションと変額保険が売れたらいいだけのFPだったんだ」と、夫Aさん。
タワーマンションの管理費は、一般的な中層マンションと比べて構造的に高額になります。夫婦が購入したマンションにも、24時間有人管理のコンシェルジュデスク、夜景のみえるスカイラウンジ、フィットネスジム、ゲストルーム、パーティールームが備わっています。これら豪華な共用施設の維持・清掃費、コンシェルジュの人件費、そして数百戸を稼働させる多数のエレベーターの保守点検費。すべてが、管理費としてかかる費用です。
さらに修繕積立金は今後値上がりする可能性が高いと、ネットで読みました。現在月12万円の固定費が、15万円、18万円と上昇したら、その分年収が増えていない限り生活は苦しくなっていきます。