(※画像はイメージです/PIXTA)
タワマン節税改正のあおり
翌年、マンションの維持費を甘くみていた夫婦に、固定資産税・都市計画税の納税通知書が届きました。そこに記載されていた年税額を見て、2人は絶句。なんと約70万円と記載されていました。
港区エリアの地価は、再開発の進展により高騰を続けています。彼らが購入したのは25階の部屋でした。2024年1月から施行された、いわゆる「タワマン節税」防止のための固定資産税ルール改正(高層階ほど税額が高くなる)が、節税目的ではない住民に重くのしかかります。評価額が市場実勢価格を反映する形で引き上げられ、高層階の税負担は以前より格段に重くなっているのです。
固定資産税の評価額は、3年ごとに見直されます。港区のような地価上昇が著しいエリアでは、この見直し(評価替え)のたびに、評価額が引き上げられる可能性が極めて高いのです。自治体がエリア全体の再評価を行うことで、築10年未満の物件であっても、容赦なく増税の負担が生じることがあります。
「資産性の高さは維持費の高さでもあるのか……」とAさんは恐怖を覚えました。
「資産性の高さ」の虚しい机上論
「大丈夫、いざとなれば売ればいい。港区のタワマンなら、買った値段より高く売れるはず!」 購入時、夫婦はそう信じていました。
違うFPにセカンドオピニオンを依頼したところ、衝撃的な結果となりました。結論からいうと、このまま現在のタワーマンションに住み続けると、老後は家計破綻するようです。高収入の仕事をしていても、収入は住宅費に湯水のごとく消え、資産運用に使えるお金も乏しく、退職金をもらっても維持費にお金が消えていくことになるとのこと。
当初の計画どおり、「資産性の高いマンション」を売却したら、老後資金の足しになるのではないかとFPに質問しましたが、定年退職を迎える前に家計破綻してしまうため、売却以前の問題であると指摘されました。
「子供を持つことはできますか?」と妻Bさんが不安そうに聞きます。しかし、答えは非情なもの。
「いまのままでは無理です。家計破綻を早めるだけでしょう」
売却しなければ資産性のメリットを享受できないのがマンションという資産です。売却前にすでに家計が破綻しているのであれば、資産というよりも浪費だったということになります。