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45歳、残酷すぎる「平均年収」の分岐点
武藤さんが目撃した「絶句」するほどの格差と、それに固執する旧友たちの姿。これは現代の40代サラリーマンが直面する「現実」です。客観的なデータに基づき、その実情を見ていきましょう。
厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、40代後半の大卒男性(正社員)の平均給与は月収で49.8万円、年収で822.4万円です。武藤さんの月収55万円(年収換算660万円+賞与)は、ほぼ平均的な水準を上回っています。しかし、この平均には大きな幅があります。
残酷な分岐点のひとつが「企業規模」。同調査で、40代後半の大卒男性の平均給与を事業所規模別に見ると、「従業員1,000人以上企業」で月収54.9万円、年収945.2万円。「従業員100~999人企業」では月収48.9万円、年収791.3万円。「従業員30~99人企業」では月収41.7万円、年収646.6万円。同じ40代後半の大卒男性であっても、企業規模で月収では15万円程度、年収では実に300万円もの格差が生じています。
「業種」による差も顕著です。「金融」は月収65.2万円、年収1,145万円。「宿泊業、飲食サービス業」では月収40.0万円、年収619.1万円。月収で25万円、年収で500万円もの差が生じています。
もちろん、「役職」の有無も年収を大きく左右します。非役職者であれば月収42.9万円、年収713.3万円。課長級だと月収は56.0万円、年収は904.2万円。部長級だと月収は70.2万円、年収は1,101万円。役職の有無やクラスによって、給与格差は残酷なほど明確です。
確かに、サラリーマンの価値が給与で測られるのであれば、同窓会会場で繰り広げられたマウント合戦は当然の光景かもしれません。ただ、同窓会に参加して、改めて過去とは一線を画していいと思ったという武藤さん。
「一度出来上がった人間関係は、ときを経ても変わらないものですね。私の人生には、あまりプラスにはならないと、改めて感じました」
[参考資料]
厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』