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なぜエリートはギャンブルにハマったのか?
定年退職を機に始まるセカンドライフ。ここで躓いてしまうケースは珍しくありません。
内閣府『令和4年 高齢社会白書』では、仕事をしている高齢者は社会との繋がりや役割を持つことで生きがいを感じやすい傾向があり、健康維持や自己肯定感の向上にも繋がると指摘。就業理由は経済的理由だけでなく、生きがいや社会参加を目的とする高齢者も増加しています。
そのようななか、仕事が生活の中心にありがちな男性は、リタイア後、生きがいを見いだせず苦しい思いをするケースも珍しくありません。中には前述の加藤さんのように、ぽっかりと空いた穴をギャンブルで埋めようとのめり込んでしまうケースがあります。
貯蓄を使い果たしてもなお、消費者金融から借りられるだけ借りたり、周囲の人にお金を無心したり。それは依存症に陥っているといえるでしょう。
厚生労働省の調査では、18歳〜74歳の回答者の1.7%(男性2.8%、女性0.5%)がギャンブル依存症を疑われる状態だといいます。ギャンブル等依存症は精神疾患のひとつ。適切な治療と支援により回復可能ですが、放置しておくと症状が悪化したり、借金の問題もより深刻になったりします。
「まさか自分がなるわけがない」と思っている人ほど危険なのが、定年後の落とし穴です。加藤さんのような転落劇を避けるためにも、退職後は「お金」だけでなく、「時間」と「生きがい」の設計が不可欠です。セカンドライフを豊かにするために、現役時代から何をすべきか――考えていきたいものです。
[参考資料]
内閣府『令和4年 高齢社会白書』
厚生労働省『令和5年度 ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査』