「年金が月7万円」と聞くと、多くの人は生活に困窮しているイメージを抱くでしょう。しかし、そんな金額でも十分に豊かに暮らしている高齢者も。お金に頼らない豊かさとは? 見ていきましょう。
お金は送らなくて大丈夫…〈年金7万円〉72歳母が仕送り拒否。心配した45歳息子が1年ぶりの帰省で目撃した「まさかの光景」に唖然 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金月7万円でも“豊かな生活”を送る秘訣

厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』によると、年金生活者の43.4%が、「所得の100%が年金」、「80〜100%」を含めると6割に達します。

 

一方で総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』によると、高齢者夫婦の1カ月の消費支出は25万円ほど。毎月3万円の赤字となり、足りない分は貯蓄などから補填。これが平均的な高齢者の家計です。

 

しかしこれはあくまでも平均。ここには幸子さんのように、月7万円でも十分に暮らしていけるという高齢者も含んでいるわけです。

 

幸子さんの生活から学べる「たくましく生きる知恵」は、大きく分けて2つ。

 

まず「生活費を減らす知恵」。食費をほとんどかけない工夫は、生活費の最大のウェイトを占める項目を削減する効果的な手段です。地域コミュニティの資源(畑、漁業資源のお裾分けなど)を活用することは、家計を大きく改善します。また、自治体が運営する高齢者向けの「生活支援サービス」や、地域のフードバンク、見切り品市場などを利用するのも手。

 

電力会社の料金プランの見直しや、使っていない契約(サブスクリプションなど)の解約は、確実な節約効果をもたらします。総務省の家計調査でも、光熱・水道費は生活費の一定割合を占めており、小さな工夫の積み重ねが大きな差となります。

 

もうひとつが「お金ではない豊かさによるQOLの向上」。金銭的な豊かさとは別に、幸子さんの生活の質の高さ(QOL)を支えているのは、「社会との繋がり」です。地域のサークル活動やボランティアへの参加は、精神的な充足感や生きがいを生み出します。内閣府『令和3年度高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』でも、社会的な活動に参加している高齢者ほど、幸福度が高い傾向が示されています。また、地域活動は孤立を防ぎ、緊急時の相互扶助の基盤ともなり得ます。

 

もちろん、幸子さんが暮らすのは地方で地域コミュニティが保たれているところ。大輔さんが暮らす東京などの都会で、同じような生活が叶うかといえば難しい一面もあるでしょう。幸子さんは地の利を最大限に活かしているといえるかもしれません。

 

「私の母は思っている以上にタフでした。せっかく助けるつもりで帰省したのに……悔しかったので、送る予定だった10万円を置いていきましたよ」

 

[参考資料]

厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』

総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』

内閣府『令和3年度高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』