成人後も親と同居。子が安定した職業に就いていれば、親は安心この上ないでしょう。しかし、同居しているとはいえ、子どものことをすべて知っているとは限りません。親が知らない一面を持っているのも当然のこと。その内容があまりにも衝撃的なことも珍しくありません。
ごめん、もう限界なんだ…〈月収25万円〉28歳・公務員のひとり息子が突然の失踪。両親が息子の部屋で見つけたメモの「衝撃内容」 (※写真はイメージです/PIXTA)

なぜひとり息子は失踪したのか?

「公務員は安泰。そう思って安心していました……」

 

高橋良一さん(58歳・仮名)と美佐子さん(55歳・仮名)夫婦。同居していたひとり息子の拓也さん(32歳・仮名)が、ある朝、1枚のメモを残して姿を消しました。

 

拓也さんは地元の市役所で働く地方公務員。市民と直接向き合う窓口業務を担当していました。大学を卒業し、実家から通える安定した職に就いた息子を、両親は誇りに思っていました。

 

「夕食のときなどに『仕事はどうだ?』と聞くと、いつも『やりがいがあるよ。市民の役に立てるのは嬉しい』と笑顔で答えていました」

 

拓也さんの月収は25万円ほど。そのうち半分は家に入れてくれていたそうです。

 

「『そんなにたくさん、いらないよ』といっても、『今までの感謝込みだから』なんて言って……優しすぎるんです、あの子」

 

そんな拓也さんの様子が変わったのは、半年ほど前から。異動してから、口数が減り、少し痩せたように見えたそうです。

 

「『新しい部署の仕事、大変なんじゃないか?』と何度聞いても、『大丈夫だよ』というから……あまり深く詮索しなかった」

 

失踪後、拓也さんの部屋に入った夫妻が見たのは、息子の苦悩の痕跡が残されていました。机の引き出しには、精神科の診察券と抗うつ薬。そして、1冊の大学ノートが残されていました。

 

「ノートには、『この税金泥棒!』『お前の給料は誰が払ってると思ってるんだ!』といった言葉とともに、些細な手続きの不備などを責め立てられ、何時間にもわたって罵倒された出来事が記されていました。息子は、ただひたすらに『申し訳ございません』と謝ることしかできなかったみたいです」

 

さらに、ノートの最後には「ごめん、もう限界なんだ。少し仕事を離れたい」という短い書置き。同居する両親にすら伝えられなかったSOSだったのです。