(※写真はイメージです/PIXTA)
2割が経験する「退職ハラスメント」…どう立ち向かうべきか
交渉がエスカレートし、ハラスメントの領域に踏み込むことも珍しくありません。実に転職コンサルタントの2割が「不当な引き止め(退職ハラスメント)に遭遇したことがある」と答えています。
最も多かったのは「上司による恫喝」(47%)。「退職届を受け取らない」「必要書類の発行を遅らせる」といった嫌がらせ(いずれも44%)も横行しています。これらは労働者の「退職の自由」を脅かす行為であり、違法とみなされるケースも少なくありません。
もし、このような「退職ハラスメント」に遭ってしまったら、どうすればいいのでしょうか。専門家は、「退職の意思はメールなど記録に残る形で伝える」「『相談』ではなく、辞めるという『報告』のスタンスを貫く」「恫喝されたら録音する」といった自衛策を挙げています。感情論に付き合わず、客観的な事実で冷静に対応することが肝心です。
会社は「気持ちよく送り出す」勇気をもつべき
今回の調査結果は、多くの企業に対し、「引き止め」というその場しのぎの対策の限界を突きつけています。優秀なミドル世代が「辞めたい」と思う根本的な原因、つまり評価制度、キャリアプラン、働く環境、そして企業文化そのものにメスを入れなければ、人材の流出は止められません。
退職交渉の場は、辞める社員から会社の課題を聞き出せる最後のチャンスでもあります。その声に真摯に耳を傾け、組織の改善につなげることこそ、未来の離職者を減らすための最善策ではないでしょうか。
〈参考資料〉