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「不動産を活用した相続対策」と聞くと、何億円もの大規模物件を購入し、賃貸管理を行うイメージを持つ人が多いでしょう。しかし近年は、数百万円程度の資金で手軽に不動産投資ができ、相続税対策や“争族”防止にも効果を発揮する「不動産小口化商品」が富裕層を中心に注目を集めています。なかでも任意組合型の商品は、相続対策に特化した設計が可能であり、相続財産評価額の引き下げや、柔軟な分割・承継など、現物不動産にはない多くのメリットを備えています。本記事では、公認会計士・税理士の視点から、不動産小口化商品「任意組合型」が相続対策に有効な理由を徹底解説します。

不動産小口化商品とは

不動産小口化商品は、1棟ビルや大型商業施設など、高額な不動産を複数の投資家で出資し共有する仕組みで、少額から投資可能なスキームです。投資家は一定の持分比率を保有し、物件の賃料収入や売却益を持分割合に応じて享受します。

 

不動産特定共同事業法に基づき、大きく「匿名組合型」と「任意組合型」の2タイプがあります。

 

匿名組合型
・不動産特定共同事業者と匿名組合契約を結び、利益を分配する仕組み。
・投資家は出資者に留まり、不動産を直接所有するわけではない。
・出資持分は相続税評価で現金扱い(額面評価)となるため、相続評価圧縮の効果は期待できない。

 

任意組合型
・投資家自身が任意組合の組合員となり、不動産を持分割合で直接共有する形態。
・「不動産の共有持分」として相続財産に計上されるため、相続評価上は現金より大幅に低い評価額となる可能性がある。
・分割しやすく、争族(相続)対策にも適している。

 

この「相続評価上の圧縮効果」と「柔軟な分割性」が、任意組合型が富裕層に支持される最大の理由です。

なぜ任意組合型は相続対策に有効なのか?

不動産小口化商品・任意組合型は、他の金融商品にはない特徴で相続対策に活用できます。具体的には以下の4つのポイントがあります。

 

1. 相続評価額の引き下げ効果

任意組合型で保有する共有不動産は、相続税計算上「路線価×共有持分割合×共有減価」などで評価されます。路線価は時価の7〜8割が目安となることが多く、さらに「共有減価」と呼ばれる評価減が認められるため、現金よりも大幅に相続評価を圧縮できます。

 

2. 分割しやすく「争族」回避に貢献

不動産そのものを共有持分化しているため、複数の相続人で均等に分けやすいです。1棟現物不動産は「どう分けるか」で揉めやすいのに対し、小口化商品は「100万円×相続人数分」など端数の調整がしやすく、遺産分割協議を円滑に進められるケースが多いです。

 

3. 柔軟な運用で管理負担が少ない

現物不動産と違い、賃貸管理や修繕対応は事業者が担います。相続後も出資持分を持ち続けるだけで安定した家賃収入(インカムゲイン)を得られ、現物のような実務負担がありません。


さらに持分を少しずつ他の相続人に移転したり、譲渡したりすることを検討できるなど「柔軟な運用」が可能です。

 

4. 特定の相続人に集中して承継できる

相続人間で話し合いが整えば、特定の相続人にだけ任意組合持分を引き継がせることも可能です。事業承継を考えている経営者や、資産形成に前向きな子世代に財産を集中的に承継したい場合にも有効です。

 

 

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