年収1,500万円、都心のタワーマンションでの暮らし。それは多くの人が羨む「勝ち組」の姿です。しかし、その煌びやかなイメージとは裏腹に、当事者は苦悩を抱えていることも珍しくありません。ある男性のケースをみていきます。
家、都心タワマンの高層階なんだって。〈年収1,500万円〉48歳部長。尊敬の念を集める勝ち組エリートの「絶対知られたくない裏の顔」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収1500万円でも「全然、楽じゃない」

厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、中田さんと同年代、40代後半の大卒男性・正社員の平均給与は、年収で約822万円。大企業に限ると、約945万円です。年収1,500万円の中田さんへの「勝ち組エリート」という評価は、決して言い過ぎではありません。

 

しかし、年収1,500万円はあくまでも額面。実際に手にするお金は、想像よりも少ないもの。仮に賞与が月収の5ヵ月分とすると、中田さんの月収は88万円ほど。そこから税金や保険料を引くと、手取りは60万円を下回る程度になります。住居費と教育費で月45万円ほどの支出があり、そこから食費、水道光熱費、通信費などを引いていくと……手元にはそれほど残らないことは想像に難くないでしょう。

 

世間からは「勝ち組エリート」と呼ばれるような人たちでも「それほど余裕はない」というケースは珍しくはないのです。

 

また中田さんは親の援助で住宅を取得しましたが、これもよくあるケース。国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』によると、分譲マンション購入世帯の購入資金は平均5,279万円。そのうち、自己資金比率は41.4%ですが、親などからの贈与を受けている世帯も15.3%存在します。

 

問題は、購入後の住まいを維持するためのコスト。都心のタワーマンションの場合、充実した共用施設や手厚い管理サービスと引き換えに、管理費・修繕積立金だけで月々5万円~10万円以上かかることもあります。これに固定資産税が加わり、住宅ローンとは別に年間100万円以上の住居関連費が発生することも想定されます。そしてこの物価高により、管理費や修繕積立金も値上がり。家計を圧迫しています。

 

「妻もここでの暮らしを維持するために、今は働きに出ています。当然、疲れを感じているようです。息子が大学生か社会人になって、この家を出ていったら、この暮らしのやめるときだと考えています」

 

[参考資料]

厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』

国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』