年を重ねていくなかで、自宅に住み続けるか、それとも他に引っ越しをするか、住み替えを検討する人は珍しくありません。しかし、熟考を重ねて答えを出したとしても、それが正解とも限らず、さらなる変更を余儀なくされることも。元公務員男性のケースをみていきます。
〈退職金2,000万円〉72歳元公務員、念願の〈高級老人ホーム〉入居も1年で退去を決意。原因は入居者仲間の「残酷すぎるひと言」 (※写真はイメージです/PIXTA)

鈴木さんが住み替え先として選んだ自立型老人ホームは、介護の必要がない、自立した高齢者が入居できる施設。日々の家事のサポートや安否確認、見守りサービスは受けられますが、介護サービスは提供されません。将来的に介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用するか、介護が必要な他の施設へ転居する必要があります。

 

一人暮らしに不安を抱える高齢者の受け皿になっていますが、自身に合っているか否かは入居しなければ分からない部分も大いにあります。鈴木さんのように入居者との相性が悪く、退去するケースは珍しいことではないようです。

 

「施設の豪華さやサービスの質は重要です。しかしそれ以上に、多様な価値観を持つ人々が集まる場で、互いの経歴や人生に敬意を払えるコミュニティであるかどうかも、穏やかな老後を送るうえで重要だと痛感しました」

 

現在はいったん自宅に戻り、改めて自分に合う施設を探すか、それとも一人暮らしを続けるか——しっかりと考えているところだといいます。

 

[参考資料]

内閣府『令和6年版高齢社会白書』