都心の人気駅は便利さやブランド力が魅力的で、多くの人が憧れる一方、その家賃は想像以上に高額です。しかし最新の調査によれば、隣駅に移るだけで平均13%、最大40%以上も割安になるケースが見つかっています。実際、品川駅と大井町駅の間には年間で約94万円もの差が生まれるとの結果も。アクセスや生活の利便性を大きく損なうことなく、賢く節約できる可能性が隣駅には隠されているようです。
「品川の隣」に住むだけで〈年94万円の差〉…家賃4割減も、都会の「賢い部屋探し術」 (※写真はイメージです/PIXTA)

最大40%超!品川の隣が生む、年間94万円の価値

雑誌をめくるたび、ネットの特集を見るたびに心惹かれる、あの街、この街。誰もが一度は思い描く「いつか住んでみたい街」は、私たちの部屋探しの憧れです。

 

しかし、そのキラキラした輝きは、容赦なく『家賃』という現実的な数字に姿を変えます。いざ探してみると「とても予算に合わない…」と肩を落とした経験は誰もがあるでしょう。

 

そのようななか、興味深いデータが発表されました。不動産・住宅情報サービス「プロパティバンク」が、2025年6月から8月にかけて集めた一都三県の賃貸物件約4万件の情報を分析。その結果、憧れの駅から電車でわずか数分、たった一駅隣に行くだけで、家賃が驚くほど安くなるケースが、文字通りゴロゴロ転がっていることが明らかになったのです。

 

データによれば、家賃の差は平均で約13%、なかには40%以上もお得になる駅もあるといいます。なかでも、ひときわ衝撃的な家賃差を叩き出したのが、品川駅と、JR京浜東北線で隣の大井町駅です。その差は、なんと40.5%。金額にして月々約7.8万円、年間で94万円近くも家賃を抑えられる計算になります。

 

品川駅は、新幹線が発着し、空港へのアクセスも抜群な、まさに「日本の玄関口」。駅周辺には大企業の高層ビルがそびえ立ち、ビジネスの最前線といった雰囲気。利便性を最優先する人々からの需要が、家賃を押し上げています。

 

一方の大井町駅も複数路線が乗り入れる交通の要所。しかし駅前には区役所や大型スーパー、昔ながらの飲み屋が軒を連ねる商店街が広がり、品川駅の洗練されたビジネスライクな空気とは対照的。街全体が暮らしの匂いに満ちています。たった一駅の違いが街の役割をガラリと変え、それが家賃にはっきりと表れている興味深い例です。

 

渋谷駅 vs.池尻大橋駅(東急田園都市線)

35.0%安(月約6.9万円)

誰もが知る渋谷のブランド力に対し、池尻大橋は国道沿いながら一本路地に入れば穏やかな住宅街が広がります。渋谷まで電車でも自転車でも行ける距離で、都会の喧騒から離れた落ち着いた暮らしが手に入る。その絶妙なバランス感覚が、家賃に反映されているのでしょう。

 

恵比寿駅 vs.中目黒駅(東京メトロ日比谷線)

23.5%安(月額 約4.5万円)

中目黒自体もおしゃれな街ですが、恵比寿駅がJR山手線・埼京線・湘南新宿ライン、そして日比谷線が乗り入れるのに対し、中目黒は東急東横線と日比谷線がメイン。このわずかな路線の差が、家賃に大きく響いているようです。

 

新宿駅 vs.初台駅(京王新線)、大久保駅(JR中央・総武線)

14.5%安(月額 約2.0万円)、23.3%安(月額 約3.3万円)

オペラシティを擁し文化的な香りが漂う初台、多様な文化が混じり合うエネルギッシュな大久保。新宿の利便性を享受できる街と、世界一の巨大ターミナルの直接的な利便性を享受できる街、その差はあまりにも大きいようです。

 

この「隣駅がお得」という傾向は、東京23区に限りません。

 

神奈川では、タワーマンションが空に伸びる武蔵小杉駅に対し、隣の元住吉駅は22.3%(月額約2.2万円)も割安に。元住吉は、駅の両側に活気ある商店街が伸びる人情味豊かな街です。県内最大のターミナル横浜駅でも、隣の東神奈川駅が17.2%(月額約1.6万円)お得。

 

埼玉県では、大宮駅の隣、北大宮駅が9.7%安く、氷川神社の豊かな緑に隣接する穏やかな住環境が魅力。千葉県でも、船橋駅の隣、東船橋駅が12.6%安く、若者に人気の柏駅の隣、新柏駅に至っては26.6%もお得でした。