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息子から持ちかけられた「絶対に儲かる投資話」
「うちの息子が、絶対に儲かる投資があるって言うもんだから、まさか、まさか、こんなことになるとは思ってもいなかったんです……」
都内在住の佐々木健一さん(65歳・仮名)。大手製造業で長年働き、5年前に定年退職を迎えました。退職金はおよそ2,000万円。老後を安心して過ごすための大切な資金でした。
健一さんが息子からの投資話を持ちかけられたのは、退職して半年が経ったころです。長男の翔太さん(38歳・仮名)はIT関連の仕事に就いており、数年前から仮想通貨やAI関連の投資を行っていました。翔太さんは、健一さんにたびたび「絶対に儲かる」と話を持ちかけていましたが、そのたびに健一さんは「危ない橋は渡りたくない」と断り続けていました。
しかし、ある日、翔太さんは「AIが自動で取引してくれるシステムで、勝率は9割以上。これまでも何度も成功している。元本保証もあるから大丈夫だ」と、具体的な話を持ちかけてきました。健一さんは翔太さんの熱心な言葉に、次第に心を動かされていきました。翔太さんは、健一さんを投資セミナーに誘い、そこで大学時代の先輩だという人物を紹介されました。その人物は翔太さんに投資の指南をする師匠だと言い、いかにも成功者といった雰囲気を醸し出していました。そして「このシステムは、あなたのようなリタイア世代の方にこそ、安心して資産を増やしていただけるものです」と健一さんに説明してくれたといいます。
健一さんは、翔太さんとその人物の言葉を信じ、退職金の一部である1,000万円を投資することにしました。契約書にサインする際も、翔太さんは隣で「大丈夫ですよ、絶対に損はしない仕組みですから」と笑顔で太鼓判を押しました。