一見、円満に見える夫婦関係。しかしその水面下で、パートナーが抱える劣等感や焦りが、静かに家庭を蝕んでいることがあります。
こんなはずじゃなかった…年収1,300万円の35歳妻、激震。年収400万円の32歳夫のポケットから出てきた「禁断のもの」 (※写真はイメージです/PIXTA)

不倫よりも残酷な裏切り

その夜、成美さんは名刺をテーブルに置き、夫を問い詰めました。

 

「こんなはずじゃなかったんだ……」

 

亮二さんは観念したように、泣きながらすべてを告白しました。しかし、その内容は成美さんの想像を絶する、不倫よりももっと残酷なものだったのです。

 

亮二さんは、妻との収入格差に、ずっと深い劣等感を抱いていたといいます。「妻や息子に、もっといい暮らしをさせてやりたい」「一家の主として、もっと稼がなければ」そんな焦りを抱えていたとき、SNSで「有望な未公開医療系スタートアップへの投資」を謳うコンサルタントの女性と知り合います。

 

「月々30万円の積立で、1年後には資産が倍になる」

 

その甘い言葉を信じ込み、夫は共有アプリに連携していない自分名義のカードローンや消費者金融数社から合計500万円もの借金をし、すべてをその架空の投資話に注ぎ込んでいたのです。名刺の女性は、不倫相手ではなく、彼を騙した詐欺師でした。

 

「君を驚かせたくて……」そういって夫は泣き崩れました。しかし、それは愛情ではなく、プライドと劣等感が生んだ、あまりに悲しい裏切りでした。

「お金の秘密」が家庭を壊す前にできること

収入格差の有無にかかわらず、家計管理が共有できない事態はどんな夫婦にも起こりうる問題です。どうすれば、このような事態を防げたのでしょうか。

 

「役割分担」から「目標共有」へ意識を変える

「稼ぐ役」と「管理する役」という役割分担は、時に劣等感や無関心を生む温床になります。大切なのは、夫婦を「共通の未来へ向かう共同経営者」と位置付けること。「15年で住宅ローンを完済する」「息子の大学資金を投資で準備する」といった共通目標を立て、その達成計画を一緒に練りましょう。目標が共有されていれば、個人的な焦りからの無謀な行動に走るリスクは軽減します。

 

失敗を“報告”できる関係性の構築

人は誰でも過ちを犯します。重要なのは、失敗したときに、それを正直にパートナーに打ち明けられる関係性があるかどうかです。「これをいったら、軽蔑されるかもしれない」という恐怖が、秘密と嘘を生み出します。日ごろから、失敗をしてしまったら「2人でどう解決するか」を話し合える環境を築いておくことが、問題の早期発見・早期解決に繋がります。

最高の資産防衛は、夫婦の「信頼関係」にあり

最高の資産防衛とは、最新の金融商品に詳しいことではありません。それは、夫婦が「どんなことも安心して話せる」という、盤石な信頼関係を築いておくことにほかなりません。お金の話は、その信頼関係を測るバロメーターにもなり得ます。日々の対話を大切にすることこそが、家族の資産と未来を守る、最も確実な方法なのです。