一見、円満に見える夫婦関係。しかしその水面下で、パートナーが抱える劣等感や焦りが、静かに家庭を蝕んでいることがあります。
こんなはずじゃなかった…年収1,300万円の35歳妻、激震。年収400万円の32歳夫のポケットから出てきた「禁断のもの」 (※写真はイメージです/PIXTA)

格差婚夫婦

外資系製薬会社でMRとして働く成美さん(仮名/35歳)の生活は、順風満帆にみえました。3歳年下で理学療法士の夫・亮二さん(仮名)は心優しく、5歳の息子にも愛情深い人です。世間からみれば、妻の年収が1,300万円、夫が400万円という「格差婚」でしたが、成美さんは「古い価値観は気にしない」と、パートナーシップに自信を持っていました。

 

その自信の象徴が、3年前に購入した6,000万円の新築一戸建てです。住宅ローンは、夫婦がそれぞれ債務を負う「ペアローン」を選択。妻の成美さんが4,500万円、夫の亮二さんが1,500万円と、収入に応じた割合で借り入れ、物件もその持分比率で登記しています。

夫のジャケットから出てきた、見知らぬ「女の名刺」

夫婦の家計は、共有の家計簿アプリで管理。お互いの口座やクレジットカードは連携され、透明性は保たれているはずでした。しかし、成美さんはあるときから、亮二さんの行動に些細な、しかし拭えない違和感を覚えはじめます。

 

やけにスマートフォンを気にするようになり、成美さんが帰宅すると慌てて通話を切る。そしてなにより、家計簿アプリとは関係のないところで、彼が現金に困っているような素振りをみせるのです。

 

ある週末、夫のジャケットをクリーニングに出そうと、ポケットに手を入れた成美さんの指先に、一枚の名刺が触れます。記されていたのは、聞いたこともない投資顧問会社の名前と、見知らぬ女性の名前。

 

――まさか、不倫……?

 

頭が真っ白になりました。あの引き出された現金は、この女性とのデート代だったのか。だとしたら、あまりに愚かで、悲しい――。成美さんは、真実を突き止める覚悟を決めます。