生命保険文化センターの調査によると、日本の生命保険の世帯加入率は約9割。年間払込保険料は平均37.1万円にものぼります。この数字は世界的にみても突出しており、「日本人は保険好き」といわれる所以です。しかし、もしその“国民性”ともいえる行動が、実は多くの家庭で「保険の入りすぎ」という不合理な状態を生み、資産形成を阻害する最大の固定費になっているとしたら……。
「保険大好き」日本人の悪癖…なかには無垢に「月8万円」を支払う50代会社員も (※写真はイメージです/PIXTA)

過去のパーソナルな経験や親の固定観念が影響する保険加入

Aさんのように、過去の経験や親の固定観念から、感情的に保険を選んでしまうケースは少なくありません。その重荷から逃れ、合理的な備えを築く方法はシンプルです。

 

ステップ1:最強の味方「公的保険」で受けられる保障を“正確に”知る

「足りない」部分を知る前に、まず「すでに得られている」保障を正確に把握しましょう。高額療養費制度、遺族年金、傷病手当金。この3つが、あなたの家庭を守る揺るぎない土台です。

 

ステップ2:「本当に必要な保障額」を“冷静に計算する

感情的な不安ではなく、数字で考えます。ライフプランはケースバイケースです。家族構成やライフステージに応じて、万が一の際に「いつまで」「いくら」必要かを計算しましょう。子どもが独立すれば、高額な死亡保障は不要になります。

 

ステップ3:「保障」と「貯蓄・投資」を“完全に”分離する

保険は、

 

〇あくまで「万が一の際の、低確率だが損失が大きいリスク」に備える掛け捨ての「コスト」と割り切る。

〇貯蓄や資産形成は、NISAやiDeCoといった、より効率的な「投資」で行う。

 

この大原則を守るだけで、家計は劇的に改善します。

 

本当の安心とは、過去のトラウマを埋めるための高額な保険料から生まれるものではありません。正しい知識を身につけ、現在の自分に必要なものを合理的に選択することから生まれるのです。その保険、本当にいまのあなたの家族を守っていますか? それとも、ただ過去の後悔を慰めているだけではありませんか?