(※写真はイメージです/PIXTA)
二世帯住宅に住む家族6人、プラス1人の家計を負担
「我が家には、もう10年以上も滞在している、とても気難しいお客様がいるんです」
都内近郊の二世帯住宅に暮らす美咲さん(仮名・45歳)。お客様とは52歳になる義兄のことです。美咲さん一家は、15年前に建てた二世帯住宅で、夫の両親、高校生の長男と中学生の長女、そして美咲さん夫婦の6人で暮らしていました。そして10年前、職を失った義兄が「次の就職先が見つかるまで」と転がり込んできたのです。
家計簿を広げて見せてくれた美咲さん。そこには10年間味わってきた苦悩が克明に記されていました。
「家族6人の生活費は、私たち夫婦の収入で賄っていましたが、義兄が1人増えたことで純粋に月に約5万円は増えました。食費に加え、最大の負担は酒代ですね。先月なんて息子の参考書が高くて買うのをためらっていたら、お義兄さんが『たまには良い日本酒が飲みたいな』と…。本当に腹が立ちました」
定職に就かない義兄は、家にお金を入れることもなく、家事手伝いもしない。ほぼ家にいるひきこもり状態でありながら、食事と晩酌は当たり前のように要求する。夫も「兄貴の唯一の楽しみだから」と見て見ぬふり。この状況を、美咲さんは何度も義母に訴えてきました。
「何でも値上がりしているなか、家計が本当に苦しいと相談したんです。しかし、お義母さんから返ってくるのは『世の中、みんな大変なのよ』と、どこか他人事……」
さらに美咲さんを愕然とさせることが起きました。それはある夜、高校生の長男の進路について、夫と話し合っていたとき。「XX大学に行きたいなら、塾の費用ももっとかかるぞ。うちの家計で、そこまで余裕があると思うのか?」という夫。そのすぐ横で、テレビを見ていた義兄が「焼酎がなくなったなあ。買ってきてくれ」と悪びれもせずに言ったのです。
もう我慢ならないと義母にも訴えたところ、「お兄ちゃんは繊細だから色々と大変なのよ。この家ではゆっくりさせてあげなきゃ。あなたも協力して、家族でしょ」と、義兄の肩をもつ始末。その瞬間、美咲さんは覚悟を決めたといいます。
「もう、優しい嫁でいるのは限界だと。このままだと、私たち家族は幸せになれないと思ったんです」