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「お試し1,000円」の広告に、つい…
都内で一人暮らしをする田中誠さん(78歳・仮名)。テーブルに置かれた一通の封書を前に、困惑した表情で当時の状況を語ってくれました。差出人は、見知らぬ法律事務所。月12万円の年金で暮らす誠さんにとって、あまりにも縁遠い場所からの手紙でした。
事の発端は、半年ほど前に遡ります。誠さんがスマートフォンでニュースサイトを見ていた際、ある健康サプリメントの広告が目に留まったといいます。
「『ひざの痛みに。初回お試し1,000円』と大きく書かれていたんです。長年、膝には悩まされていましたし、ワンコインで試せるなら損はないかな、と。本当に軽い気持ちでしたね」
誠さんは、特に深く考えることもなく、画面の指示に従って名前や住所を入力し、申し込みを完了させました。数日後には商品が届き、早速その日から飲み始めたそうです。しかし1カ月後、誠さんの元に再び同じ商品が届きました。
「もちろん驚きましたよ。追加で頼んだ覚えは一切ありませんから。『これは何かの間違いだろう』と思って、荷物は開けずに『注文していません』とメモを貼って、すぐに事業者へ送り返したんです。それで、一件落着だと考えていました」
誠さんがそう考えたのも無理はありません。しかし、この「返品すれば終わり」という認識が、後のトラブルにつながることになります。
国民生活センターによれば、誠さんのような「定期購入」に関するトラブル相談は後を絶たず、特に高齢者が巻き込まれるケースが目立っています。「初回XX円」といったお得感を強調する一方で、定期購入契約であることや解約条件などの重要な説明は、利用者が気づきにくい場所に小さく記載されていることが多いのが実情です。