(※画像はイメージです/PIXTA)

食材の味を引き立てるために、欠かせない塩。しかし、「塩=体に悪い」というイメージから、減塩を心がけている人も多いのではないでしょうか。今回は、塩に含まれる栄養素とその役割、体に良い塩の選び方、摂りすぎを防ぐ生活習慣などについて、長寿医学の専門家である白澤卓二医師に伺いました。高血圧や腎臓病のリスクを軽減したい方、正しい適塩生活に興味をお持ちの方は、ぜひご一読ください。

塩は健康に悪い?正しい塩との付き合い方とは

厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、日本人の1日あたりの塩分摂取量(食塩相当量)の目標値は、男性7.5g未満、女性6.5g未満に設定されています。さらに、WHO(世界保健機関)が推奨する1日あたりの塩分摂取量は5g未満。このことから、「塩分摂取量が少ないほど健康に良い」というイメージが根づいているのです。

 

その一方で近年、世界各国の研究機関では、それに反するエビデンスが次々と示されています。それでは、どのようなポイントに注意して塩を摂取すれば良いのでしょうか。

 

 

塩は私たちの体に欠かせない栄養素

人間の体液中には、常に0.9%の濃度で塩分が含まれています。体内に入った塩は、水に溶けると「ナトリウムイオン」と「塩化物イオン」に電離し、体中に電気を通す働きをします。それによって、

 

・細胞内外の圧力(浸透圧)を調整する

・食べ物の消化・吸収を助ける

・汗を出して体温を調整する

・神経や筋肉の働きを調整する

・食欲や味覚を正常に保つ


などの生理的機能をサポートしてくれるのです。

 

なぜ「塩=悪い」のイメージが広まったのか

ひと昔前まで塩は入手しづらく、貴重な資源でした。日本で塩が入手しやすくなったのは、1971年以降のこと。「食卓塩」と呼ばれる精製塩の製造が本格化し、大量生産が可能になったことで、一般の人々も安価で買えるようになりました。

 

一方、精製塩の消費が増えるにつれ、別の問題も浮上します。「塩分の過剰摂取が高血圧の原因になる」という医学的研究が注目されるようになったのです。

 

「塩=体に悪い」というイメージが広まったのは、一般家庭に精製塩が広く普及したことが、深く関係していると言えるでしょう。

 

 

自然塩と精製塩の違い|選ぶべき塩は?

自然塩と精製塩は、似ているようで全く異なります。自然塩には塩化ナトリウムが約8割、ミネラル分が約2割含まれていますが、精製塩は、約99%が塩化ナトリウムでできているのです。

 

精製塩は、ほぼ単一成分で構成されているため、過剰に摂取すると体内成分のバランスを崩し、高血圧につながる可能性があります。

 

その一方で自然塩に含まれるカリウムはナトリウムの過剰摂取にブレーキをかけ、塩化ナトリウムの副作用の緩和が期待できます。さらに、自然塩なら現代人に不足しがちといわれるマグネシウムも補えます。

 

つまり、大切なのは、「体にいい自然塩を選ぶこと」なのです。

 

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※本稿は、健康、食、暮らしをテーマに、専門家による「すぐに役立つ」情報を届けるサイト『AUX Magazine』からの転載記事です。