夫を亡くした後も、義理の親との関係を大切に思う人は少なくありません。血の繋がりを超えて築いてきた絆は、かけがえのないものでしょう。しかし、もしその関係がある日突然、予期せぬ一言によって断ち切られてしまったら。音信不通となった義母を案じ、1年ぶりに義実家を訪れた嫁が目の当たりにした光景。その裏には、想像もしていなかった切ない真実が隠されていました。
姑「もう、あなたとは他人だから」と言い残し、プツリと音信不通…1年ぶりに義実家を訪れた55歳嫁、目の前に広がる衝撃光景

突然の断絶…受話器の向こうから聞こえた「他人」という言葉

鈴木佳代さん(仮名・55歳)。常に気がかりだというのが、遠く離れた県で一人暮らす義母、春枝さん(仮名・82歳)のこと。5年前に夫が先立ってからも、佳代さんは春枝さんとの関係を大切にしてきました。

 

「夫が亡くなった直後は、私は寂しさでいっぱいでしたが、義母の落ち込みもひどく。だからこそ、これからは私が支えないとと思っていました。関係は……ええ、むしろ良好だと思っていました」

 

佳代さんはそう語ります。春枝さんの住む義実家までは、新幹線と在来線を乗り継いで片道4時間以上。頻繁に顔を出すことは物理的に難しく、お盆と正月の帰省が、義母と嫁、ふたりにとっての恒例行事となっていました。土産話を交換し、亡き夫の思い出を語り合い、仏壇に手を合わせる。穏やかで、かけがえのない時間だったはずでした。しかし、その関係は一本の電話を境に、突然終わりを告げることになります。

 

定期的にかけている、いつもの電話でのこと。些細な会話の流れで、春枝さんは言い放ったのです。

 

「もう、あなたとは他人だから」

 

受話器の向こうから聞こえたのは、いつもと同じ穏やかな声。いったい、どういう意味か分からず、「え?」と聞き返すのが精一杯だったとか。

 

「何か気に障ることを言ったのか、失礼があったのかと電話を切ったあとも考え続けましたが、まったく心当たりはありませんでした」

 

その電話を最後に、春枝さんに電話をしても留守番電話に切り替わるばかり。言いようのない不安が押し寄せてきます。今すぐに義実家に行って春枝さんの状況を確認したい――一しかし、仕事は多忙を極め、すぐに駆けつけることはできず。近所に頼れる親戚もいない春枝さんのことが、頭から離れない日々が続きました。

 

何とか折り合いをつけて、実家に行けることになったのは、2ヵ月後のことでした。