体重の約2%…脳より重い肝臓

「改めまして、由美さん。ご気分はいかがですか?」

「少し緊張していますが、よろしくお願いします。私、お酒なんてほとんど飲まないんです。だから、肝臓が悪いという結果が出てもピンとこなくて……」

「そうでしたか。最初に肝臓がどんな働きをしているかお伝えしてから、由美さんの肝臓の状態についてご説明しましょう。まず、肝臓の場所はわかりますか?」

えっ。腹部の臓器のイラストは見たこともあるし、肝臓の形も何となくわかる。でも、自分の体のどの辺にあるのか自信を持っては答えられない。

ときどきキリキリしたりすることもあるし……。

「この辺ですか?」

と、左胸の下のほうに両手を重ねてみた。

すると先生は、両手をそのまま右脇のほうにスライドさせるように促した。

「そう。そこです。由美さんのために毎日がんばっている肝臓はその下にあります。ちなみに、先ほど示された場所には胃があります」

「あはは、お恥ずかしい。キリキリ痛むことがあったので、肝臓かなと思ってしまいました……」

「気にしないでください。肝臓の位置を自信を持って言い当てられる人は、そんなに多くありませんよ。それに、今知っていただけたので、これからココを大事にしていけばいいんです。ついでなので、もう1つ。ダメージを受けていても、肝臓自体には痛みを感じる神経がないので、痛いということはないんですよ」

ごめん。思わず、心の中で肝臓に謝った。肝臓の場所なんて気にしたことなかった。それに、肝臓って痛まないんだ……。そして、先生は肝臓について説明を続けた。一般的な肝臓のサイズは左右に25㎝、前後と上下に15㎝ほどで、体重の約2%、1~1.5㎏の重さがあって、脳よりも重く、人体最大の臓器なのだそうだ。

1ℓの牛乳パック1本分もの重さがあるんだから、今、私の手のひらの下にある肝臓は、確かに大きな臓器だと想像ができた。