“沈黙の臓器”と呼ばれる肝臓は、痛みを感じないため異変が起きても気づくことが難しいとされています。アルコールを分解するほか、さまざまな働きをすることから体の化学工場とも言われる肝臓の重要性と注意点について、肥満・脂肪肝専門医である尾形哲氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(KADOKAWA)より、42歳女性の事例をもとにみていきましょう。
お酒は飲まないのになぜ…肝機能「E判定」を受けた42歳女性、医師から告げられた「まさか真実」に驚愕【専門医が解説】
〈本記事の登場人物〉
■中川 由美さん(42歳・女性)
中学2年になる娘をもつ母。出産後から体重が増え始め、肝機能検査で「判定E」だったことから肥満・脂肪肝専門外来「スマート外来」を受診することに。お酒は飲まないのに、と不思議がる由美さんに、医師が肝臓について説明する。
お酒は飲まないのに…肝機能「E判定」で専門医の元へ
出産後に痩せにくくなった。
体重が増えている自覚はあったので、今年も「肥満気味」と指摘されているんだろうな……と、健康診断の結果を見た。案の定、身体計測検査の項目は「判定C」。日常生活に注意して、年1回の健診を受けるようにとのことだった。
でも、今年はそれで終わりではなかった。
肝機能検査が「判定E」。精密検査を必要とするので、医療機関を受診するようにと注意喚起されていた。
夫に話すと、お酒は飲まないのに何でだろうと、不思議そうにしていた。そして、肝臓専門医の食事による減量指導が受けられる「スマート外来」の存在を知り、受診することを決めた。
緊張している私を迎えてくれたのが、O先生だった。
「こんにちは。中川由美さんですね。最初に、由美さんの肝臓の状態を見せてもらいたいので、超音波検査をします。こちらに仰向けになってください。暗いところですみませんが、少しの間、我慢してくださいね」
そして、ひんやりとしたジェルが塗られ、検査機器が私の胸の下の辺りを何度も往復した。先生はモニターの中の白黒の映像をじっくり見ている。
妊娠中もよく超音波検査で子どもの成長過程を見せてもらったが、黒と白の世界は素人の私にはよくわからない。
これで、私の肝臓の状態がわかるのだろうか……と不思議に思っていると、
「ご苦労さまでした。これで超音波検査は終わりですので、衣服を整えていただいてから少しお話をしましょう」
と先生は言った。