NISAの1,800万円の枠を増やせるかもしれない「節枠」とは

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株式会社sustenキャピタル・マネジメント
NISAの1,800万円の枠を増やせるかもしれない「節枠」とは
(※画像はイメージです/PIXTA)

本連載『GeekなNISA』では、NISAを最大限に活用するための考え方を紹介しています。NISAをただ漫然と利用するのではなく、「せっかく使うなら、とことん使い倒そう」という姿勢でお届けしているシリーズです。今回は、もしかしたらこのシリーズの目玉にもなるかもしれない、新しいNISA制度ならではの「節枠」という利用法について解説します。

NISA口座の価値を最大化するために

この『GeekなNISA』のシリーズでは、「結局NISAではなにを目指すべきなの?」「NISA口座を上手く使えているかを客観的に評価する方法はあるの?」という問いに対して、実はすでに連載第3回の記事において結論をご紹介済みです。その結論は「含み益を最大化しましょう」ということでした。

 

今回ご紹介した節枠取引も、この「含み益最大化」という目的関数に沿った考え方です。節枠取引は、NISA口座の時価が簿価を下回っているときに投資対象を一度売ってすぐに買い戻すことで平均簿価を引き下げます。これはすなわち「マイナスの含み益をリセットする/減らす(=含み益を増やす)」ことを意味します。

 

プラスの含み益を大きくするにはどの投資対象を選んで保有し続けるかということが最重要ですが、マイナスの含み益(つまり含み損)は取引によって解消できる可能性があるということです。

 

節枠取引はいつ実施できるかは、資産価格の変動によるため正確に予測することはできません。しかしNISAを利用しながらコツコツと継続的に節枠をすることは、長期的なNISA口座の価値最大化に繋がります。

 

私たちのシミュレーション、たとえば「インデックス投資に対して初期投資80万円、月額3万円の積立投資」といういたって平均的なNISAの利用のシチュエーションを想定したシミュレーションにおいては、30年間で約140~170万円の節枠が期待できるとも試算しています。冒頭の質問よりも大きな節枠効果を得ることも決して夢ではありません。

 

出所:株式会社sustenキャピタル・マネジメント
出所:株式会社sustenキャピタル・マネジメント

 

詳細な理由は省略してしまいますが、節枠取引ではより大きな変動をする投資スタイルのほうが、またより大きな投資金額を投下したほうが、より大きく枠を圧縮する(実質的に増やす)ことが期待できます。

 

判断として難しいのは、どの程度時価が簿価を下回った際にこの節枠取引を行うべきか、市場のトレンドをどの程度評価すべきか、市場の変動リスクの継続性を加味すべきか、といった部分です。

 

この判断をうまくできるかで最終的に実現できる増枠効果の多少が変わってきます(ただ、”下手な”節枠であれ、なにもしないよりは少額でも枠を実質的に増やせることに変わりはありませんので心配する必要はありません)。

 

場合によっては節枠をするチャンスが一度も訪れず進んでいくかもしれませんが、それは裏を返せば資産運用がとてもうまく行った(含み損になることのなかった)未来。節枠ができなくとも資産価格が上がり続けた結果を素直に喜びましょう。

 

反対に、資産価格が下落して含み損が発生する局面があっても(こちらのほうがよっぽど”普通”です)、節枠チャンスだと思ってコツコツ乗り越えていけると、なにもしないより結果はよくなっていくはずです。

次回、最終回に向けて

さて次回の『GeekなNISA』は、いよいよ本連載の最終回です。これまでの9回では、なるべく宣伝を抑えて、「NISAをどう使い倒すか?」という視点でお届けしてきました。

 

最終回では、こうした一連の考えをもとに私たちがどのような取り組みを行っているのかをご紹介できればと思っています。

 

どうぞ、お楽しみに。

 

 

岡野 大

株式会社sustenキャピタル・マネジメント

代表取締役/最高経営責任者 CEO