老後は「貯める」時代から「設計する」時代へ
「老後2,000万円問題」に象徴されるように、もはや“年金だけで暮らせる”時代は終わりました。夫婦2人の老後生活には毎月26万円以上の支出が必要とされ、年金だけでは赤字になるケースが大半です。とはいえ、「なにから始めればよいか分からない」と不安ばかりが積もっている方も多いでしょう。
税理士として多くのご相談を受けるなかで実感するのは、老後の安心は「いくら貯めたか」ではなく、「どう備えたか」によって決まるということ。つまり、“貯蓄”よりも“設計”が問われる時代に入っているのです。安心を得るためには、手元の資金を「守る」「増やす」「遺す」ための戦略的な資産配分と制度の活用が不可欠です。
預貯金だけでは不十分な理由
かつては「預けておけば安心」と考えられていた預貯金も、いまやインフレと超低金利のダブルパンチにより、実質的な資産目減りが起きています。
たとえば、普通預金の金利が0.001%しかない一方で、物価が毎年2%ずつ上昇すると、20年後には1,000万円の実質価値が約670万円にまで減少します。これは、なにもしないまま資産を減らしているのと同じです。
さらに老後には、介護費用、医療費、住宅修繕費、子や孫への支援など、想定外の支出が何度も発生する可能性があります。単に預貯金を積み上げるだけでは、このような不確実性に対応しきれないのが現実です。流動性は確保しつつも、「すべてを預金に頼る」のはもはやリスクであるという認識が必要です。
株式投資は万能ではない
株式は確かに成長性のある資産であり、長期的には右肩上がりの傾向があります。しかし、リーマンショックやコロナショック、戦争などによる突発的な暴落は避けられません。現役世代であれば耐えられるかもしれませんが、リタイア後に暴落が起きれば、取り崩し期に大きく評価額が下がると、生活資金そのものが不足するリスクがあります。
また、株価の変動に一喜一憂する生活は、精神的にも疲弊します。老後は、なるべく心穏やかに過ごせる資産設計が理想です。株式は“エンジン”のような存在ですが、ブレーキの役割を果たす資産との組み合わせが不可欠です。
分散投資という考え方
「株だけ」「預金だけ」といった一極集中ではなく、資産を分散して持つことは、もはや資産形成の基本原則です。異なる値動きをする複数の資産を組み合わせることで、全体のリスクを低減し、安定したリターンを追求できるのが分散投資の最大の魅力です。
代表的な資産は以下のとおりです。
・国内株式/海外株式:成長性があるが、価格変動が大きい
・債券(国債・社債など):元本の安全性が高く、定期的な利息収入が得られる
・不動産:家賃というインカムゲイン、インフレ耐性、節税効果がある
・金・コモディティ:有事に強く、通貨価値が下がる局面での保険となる
・現金・預貯金:流動性が高く、緊急時の備えになる
たとえば、株式50%、債券30%、不動産10%、現金10%といった基本ポートフォリオからスタートし、年齢や経済状況、家族構成に応じて定期的にリバランスしていく設計が有効です。
近年では、NISAやiDeCoを活用した投資信託の積立てや、ロボアドバイザーによる自動運用など、金融リテラシーが高くなくても実践できる手段が増えています。税理士の視点からも、節税と資産保全の両立において、分散投資は最も堅実な選択肢の一つといえるでしょう。
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