【第8回】「つべこべ言わずに打て、金ならある!」深夜の修羅場で貫いた、若き外科医の譲れない一線(全10回)

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聖心美容クリニック
【第8回】「つべこべ言わずに打て、金ならある!」深夜の修羅場で貫いた、若き外科医の譲れない一線(全10回)
※(画像はイメージです/PIXTA)

多くの人にとって美容医療が身近な選択肢となった昨今。しかし、不適切な治療法や悪質なアップセルなど、業界全体の信頼を揺るがす事件やトラブルの報道は未だ止むことはありません。本稿では、聖心美容クリニック統括院長・鎌倉達郎氏の著書『信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、美容医療業界の健全化を促すうえで必要なことを紐解いていきます。

美容医療業界の健全化

しかし、業界全体で見ると、だいぶ改善されてきたとはいえ、本当に患者様のためになる治療法なのか疑問に思うような行動を取られるクリニックが散見されます。クリニック経営のために患者様やドクターに過度の負担をかけているような例も見聞きします。

 

治療法や料金に関することなどスキャンダルになるような事件が起きているのも隠しようのない事実です。そのようなことが起きるたびに業界のイメージが悪くなっています。

 

昔、そういうことに手を染めていき、トラブルに発展したクリニックが複数ありました。今はほとんどがやり方を改めてくれているようですが、患者様との面談をドクターが行わず、医師免許を持たないカウンセラーなる人物が行うというシステムを導入しているクリニックはいまだにあります。

 

そのカウンセラーはドクターの意見も聞かずに治療法を決めてしまい、さらに明らかに必要のなさそうな手術も付け加えているそうです。カウンセリング後にドクターが、カウンセラーが指示した手術を「これは必要ないのでやりたくない」と拒否した場合、次回からそのドクターには仕事が回ってこなくなると聞いたときには、むしろ組織のシステムとなっているので、このドクターを不憫にすら思いました。

 

しかし、そういうことに手を染めていたクリニックも少しずつですが、あまり強引なことはやらないようになったと聞いています。医師同士の交流が増えたことで、そうしたいわば悪徳クリニックへの批判の声が高まったり、また真っ当な診療を行うクリニックもあるということに気づき悪徳クリニックに勤めるドクターやスタッフの退職が続いたりしたことなども背景にあるようです。私が前述したカウンセラーの話も、そうして前のクリニックをお辞めになったドクターやスタッフの方から直接教えてもらった話です。

 

美容医療業界の健全化は是が非でも願うところですが、今度はまた新たな問題が生じ始めているようです。強引な方法を使っていたクリニックのトップは反省し、方針を修正したとしても、今度はそこを退職した人がまた同じビジネスモデルを繰り返すのです。

 

在籍当時「自分はそんなことはやりたくない」と思っていたドクターは、独立開業しても正しい医療を続けることでしょうが、「こういうやり方もあるのか」と誤った成功体験を学んでしまった人は味を占めて、別の形で続けることでしょう。この業界にいる以上は常に患者様のことを第一に考えるようにしてほしいものだと思います。

 

 

鎌倉 達郎
聖心美容クリニック
統括院長

 

 

※本連載は、鎌倉達郎氏の著書『信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと

信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと

鎌倉 達郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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