大学生活は、学業に励み、友人との交流を深め、将来への準備を進める貴重な期間です。しかし、本来の目的から外れてしまうと、学生本人だけでなく、家計を支える保護者にとっても頭の痛い問題が起こり得ます。本記事ではAさんの事例とともに、我が子の大学進学で起こり得るトラブルについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
大バカ野郎!年収400万円の53歳会社員父、東京私大に通う息子が“大企業・就職内定”で大喜び→半年後、号泣する息子から電話が…。「まさかのひと言」に大激怒【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

単位不足でも卒業できたケース(特例措置の例)

単位不足でも卒業できたケースをご紹介します。

 

・再試験・追加レポートの実施

・追試や追加課題により単位を認定してもらえることもある

・集中講義・補講の受講

・他科目での代替単位認定

・TOEICや簿記などの資格取得による単位認定

・成績評価の異議申し立て(再評価)

 

……「採点ミスがあるかもしれない」「出席が反映されていない」などの場合、成績の再確認を申請できる制度も確認してみましょう。

内定企業に報告すると将来不利にならないか?

救済措置があるとわかり、なんとか卒業できそうになった場合、内定企業に報告しなくてもよいのでしょうか。

 

「報告すると将来の昇進などに影響が出るのではないか?」と考えてしまいそうですね。ですが、大学の救済措置で単位が取得できる見込みがあっても、内定先には「卒業が確定するまで不透明な状況」であることを早めに報告するのが望ましいです。なぜ報告すべきかというと、企業は「卒業見込み」で内定を出しており、卒業できなければ、法的にも「新卒採用」の条件を満たさないため、入社できない可能性があるからです。

 

また、早めに誠実に報告することで、「責任感のある人物」として評価されることもあり、信頼関係を築くチャンスにもなります。さらに、万が一卒業できなかった場合のリスクヘッジにもなりますし、企業側も事前に知っていれば、入社時期の調整やインターン雇用など柔軟な対応を検討してくれる可能性もあるのです。

 

報告しなかったことで、もし卒業できなかったとなると、突然の内定取り消しや信頼失墜につながる可能性があります。仮に、入社直前のタイミングで発覚すると、企業側の準備(配属・研修・人員計画)に大きな影響を与えてしまうことにもなりかねません。最悪の場合、経歴詐称とみなされる危険性もゼロではありません。

 

まずは電話で状況を伝え、電話後に「ご報告とお詫び」のメールを送ると丁寧で印象もよいでしょう。もし電話が難しい場合は、最初からメールでも構いません。

Aさんの息子のその後

Aさんの息子は、教授が出してくれた追加課題によってなんとか卒業でき、内定を受けた企業にも予定どおり就職することができました。

 

「親を助けるためにバイトを増やしたのに、それがまさか親不孝になるところだったので心底驚きました。両親には初任給でそれぞれプレゼントを買って改めてお詫びしました」Aさんの息子はこれに懲りていまは就職先で新入社員として頑張っています。