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突然の「雇止め」通告…52歳、再び職探しへ
総務省統計局『労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果』によると、役員を除く雇用者5824万人のうち、非正規の職員・従業員は2,126万人。その割合は36.8%にのぼり、前年から0.2ポイント上昇しました。働いている人のうち、3人に1人は非正規雇用で働いています。
非正規雇用を選択した主な理由としては、「自分の都合のよい時間に働きたいから」で731万人。積極的に非正規を選んでいるといえるでしょう。一方で、「正規の職員・従業員の仕事がないから」という理由で非正規雇用を選択している人は、男性89万人、女性91万人。このなかには、田中さんのように就職氷河期世代も。
「自己責任――そういわれても仕方がない。でも、それだけじゃなかったと言ってもらえたら、それだけで救われる思いです」
もう浮上することはない
もう救われることはない
諦めの境地にいる田中さん。3年間、事務職として真面目に働いてきました。人間関係も悪くなく、数少ない安定した場所でしたが、その平穏はあまりにも突然、終わりを告げます。先月、派遣会社の担当者から告げられたのは、「業績不振による人員削減のため、次回の契約更新はありません」という非情な通告でした。
「頭が真っ白になりました。またかと……これからどうやって生きていけばいいんだろう」
50代になり、派遣会社から紹介される仕事もぐっと減ったという田中さん。ハローワークのパソコンで求人情報を検索し、自力で仕事を見つけようと頑張っています。しかし、画面に並ぶのは、若い世代を対象とした求人や、専門的なスキルを要するものばかり。52歳、職歴は非正規のみという経歴では、応募できる求人は極端に限られてしまいます。面接にこぎつけても、年齢を理由にやんわりと断られることが続きました。
政府は不本意ながら不安定な仕事に就いているなどの課題に直面している就職氷河期世代に対し、支援プログラムを打ち出しています。しかし、その支援が隅々まで行き届いているとは言いがたいのが現状。一度、非正規雇用のループにはまると、年齢を重ねるごとに抜け出せなくなる――田中さんのように構造的問題に直面し、絶望の淵に立たされている人たちが、この社会には決して少なくありません。声なき声にどう向き合うべきか、社会全体が問われています。
[参考資料]
総務省統計局『労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果』