スピリチュアル系投資家には気をつけろ【投資のプロの助言】

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株式会社sustenキャピタル・マネジメント
スピリチュアル系投資家には気をつけろ【投資のプロの助言】
(※画像はイメージです/PIXTA)

本連載『GeekなNISA』では、NISAを最大限に活用するための考え方を紹介しています。単にNISAを利用するのではなく、「せっかく使うなら、とことん使い倒そう」という姿勢でお届けしているシリーズです。ただ今回のこの第8回は、NISAの最大活用というコンセプトからは少し脱線してお届けしたいと思います。新しいNISA制度がスタートした2024年は順調な滑り出しをした世界の株式市場ですが、2025年に入り少し不安定な様子を示しました。新しいNISAになって資産運用を始めた方からすると、初めての変動で少しびっくりされたかもしれません。この機に乗じて少々メディア等では雑音も目立ちましたので、改めて資産運用をする上で忘れてはいけないことを『GeekなNISA』ならではの視点でご紹介したいと思います。

絶対は、絶対にない。

忘れてはいけないのは、投資の結果に「絶対」は存在しないということです。必ずプラスになることも、必ずマイナスになることもありません。最近資産運用を始めて、2025年の株価の下落に驚いた方もいるかもしれませんが、「未来は不確実なものだ」という大前提を、どうか胸に留めておいてください。

 

このあたりまえのようで忘れがちな不確実性を、少しでも実感していただくために、ここで小さな実験をしてみましょう。

 

身近な“運任せ”といえば、やはりサイコロです。今回は、このサイコロを使って、出た目によって資産の値動きが決まるような、シンプルなゲームを想像してみましょう。投資の不確実性を体験するための運試しゲームです。

 

出所:株式会社sustenキャピタル・マネジメント
[図表1]サイコロゲーム……出目と資産価値の変化一覧 出所:株式会社sustenキャピタル・マネジメント

 

ルールはとてもシンプルです。月に一度サイコロを振るだけ。なおこのゲームの期待値(収益率の単純平均)は月あたりおおよそ+0.5%。つまり、平均的には毎月少しずつ資産が増えていく仕組みとします。

 

たとえば年初に100万円からスタートして、1月に「6」が出たら資産は106万円に。2月に「2」が出たら102万8,000円に。3月に「4」が出れば104万9,000円……といった具合に、出目に応じて資産が増えたり減ったりしていきます。

 

こんなゲーム、もし実際にあったらあなたは参加しますか?

「絶対やるに決まってるでしょ!」と思った方は、ぜひこの文章を最後までお読みください。「うーん、ちょっと嫌だな……」と感じた方は、もしかしたら無理に投資やNISAに取り組む必要はないかもしれません。実際の資産運用はこのゲーム以上に不確実なことがあります。

 

もちろん、現実の投資はここまで単純ではありません。けれど、ここではあえて厳密な話を横に置いて、まずは感覚として「不確実性」を体験してみることを優先してみましょう。

 

では、このサイコロゲームをコンピュータ上でシミュレーションして、試しに“1000年分”(つまり12,000回サイコロを振る)ほど遊んでみたとき、どんな結果が得られるでしょうか?

 

出所:株式会社sustenキャピタル・マネジメント
[図表2]サイコロゲームの年間リターン出現頻度:1000年目 出所:株式会社sustenキャピタル・マネジメント

 

こちらが、先ほどのゲームを1000年分プレイして得られた「各年におけるリターン」の出現頻度分布です。

 

この結果を見て、皆さんはどう感じましたか?

 

おそらく、多くの人がサイコロゲームのルールを見て最初に感じた以上に「年単位のリターンって、こんなにブレるのか」と感じられたのではないでしょうか。もっとも頻出したのは、年率で+0〜+10%の範囲。これは、サイコロゲームの期待値が月+0.5%、理論上は年+6.2%と見込まれることを考えれば、違和感のないことです。

 

しかしそれ以外にも、プラス30%以上になる年もあれば、マイナス20%以下になる年も多く生じているのがわかります。1000年分のプレイのうち、実に361年分は「資産が減った年」でした。

 

1000年分の記録をより詳しく見てみると、最長で5年連続マイナスになったケースもありました。あるいは直近の最高値から最大60%下落した局面も記録されています(このような「直近のピークからどれだけ下がったか」を表すのが、いわゆる「ドローダウン」と呼ばれる指標です)。

 

サイコロのような単純なルールでも、これだけのブレがある──これは意外だったのではないでしょうか? 月単位では比較的穏やかな変動にみえても、それを1000年続けてみると、さまざまな事象が起こり得るということが分かります。

 

いかに期待値としてはプラスとはいえ、年単位でみれば普通にマイナスの年もあれば、資産の半分が無くなる局面もあるということです。

 

次ページここまではあくまで架空のゲーム。現実の投資は──