転職活動でもヘッドハンティングでも、避けて通れないのが面接という関門です。そこでは必ず「これまで何をしてきたのか」「どんな成果を上げたのか」といった質問をされます。そのとき、あなたは自分の仕事をきちんと説明できますか? 今回は、サーチ・ビジネス(ヘッドハンティング)のパイオニアである東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)代表取締役社長・福留拓人氏が、意外とできる人が少ないという「仕事実績の語り方」について解説します。
自分の仕事、ちゃんと説明できますか?…わずか1秒の沈黙が命取り。面接で「選ばれる人」「選ばれない人」の“決定的な差”【エグゼクティブ転職のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

自分の仕事をきちんと他人に説明できますか?

このコラムでは以前から「キャリアの棚卸し」というキーワードを使い、さまざまな視点でお話をしてきました。老若男女を問わず、キャリアのレベルや年齢、ポストの高低にかかわらず、自分自身を等身大で見つめ直す「棚卸し」は、言うまでもなく誰にとっても欠かせない作業です。

 

特にエグゼクティブに近いポジションにいる人は、「自分のキャリアを等身大で語らなければならない場面」がやってきます。ある程度年齢を重ね、実績も積み重なっているからこそ、若手よりもさらにシビアかつ冷静に、自分のキャリアを説明できなければなりません。

 

面接で与えられる時間は年齢がいくつでもほぼ同じです。過去の職歴をダラダラと語れば、成功の期待感はぐっと下がってしまいます。大切なのは、「原点回帰」と「基本への忠実さ」。とくにエグゼクティブポジションを経験してきた方ほど、自身の実績や仕事の中身を、客観的かつ簡潔に伝えるスキルが求められます。

 

自身の実績について語ることの難しさ

自分の仕事ぶり、実績について語る。そんなのは当たり前じゃないかと思われるかもしれません。しかし、実際にきちんと語れる人は、私の感覚では100人中10人ほどしかいません。

 

簡単そうなのに、誰もができるわけではないのはなぜか。「自分には何ができるのか?」「仕事の中で一番苦労したことは何か?」と問われたとき、即座に答えられる人が極端に少ないのです。「実はこういう経験があって……」と1秒以内に話し出せる人と、「うーん……」と前置きを入れてしまう人。これが、「語れる人」と「語れない人」の分かれ目です。

 

トップレベルの人は、常に即答できます。なぜなら、彼らにとって仕事の経験は“自分の言葉で語れる体験”として、深く根付いているからです。心理学的にも、真に身についた経験は忘れません。優れた人ほど、成果を出した場面を鮮明に記憶し、人に共有する力にも長けています。

 

こんなエピソードがあります。たとえば「私は人事のキャリアで海外に駐在していたことがあります。英語もできます」と言うので会ってみたら「アメリカにいたといっても現地採用には携わっていません。ただ見ていただけです」とのことでした。

 

これでは話になりませんが、こうした誇張がレジュメや最初のインタビューで平気で語られていることが、実際にあるのです。もちろん虚偽はすぐに見抜かれます。