ひとり暮らしの高齢者は増加傾向。親子とはいえ「気を遣う」というのも、その流れに拍車をかけています。一方で子としては、年老いていく親の心配は、雪だるまのごとく大きくなっていきます。
バカなことをした…年金月14万円・79歳母、真夜中の電話で突然の「悔しい、悔しい」と嗚咽。55歳長男に明かした「まさかの号泣理由」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「まさか自分が……」精神的ダメージが大きい被害者

文子さんは、言われるがままに数十万円を振り込んでしまったとのことでした。年金暮らしの文子さんにとって、それは決して少なくない金額です。しかし、話はそれだけでは終わりませんでした。相手はさらに別の名目で金銭を要求してきたのです。そこでようやく文子さんは詐欺ではないかと疑い始めたといいます。

 

「もうどうしたらいいかわからなくて、怖くて、誰にも言えなかった……」

 

文子さんはそういって、再び泣き出しました。達也さんは悲痛な声を聞きながら、自分自身の不甲斐なさを感じずにはいられませんでした。もっと頻繁に連絡を取り、何か困ったことがないか確認していれば、もしかしたら防げたのかもしれない――後悔の念が胸を締め付けました。

 

文子さんが振り込んだお金が戻ってくる可能性は低いでしょう。さらに被害者のなかには、「家族に迷惑をかけてしまった」と、精神的に大きなダメージをおってしまうことも珍しくないとか。達也さんは「お母さんは何も悪くない。一人で抱え込まないで、これからは何でも話してほしい」としつこいほど伝えたといいます。そして、より頻繁に文子さんとコミュニケ―ションを取るように心がけるようになったといいます。

 

複雑化・巧妙化する詐欺等から被害を守るため、対策を強化しています。警察は被害に遭わせないための対策として、積極的な広報・啓発活動を展開。国際電話番号を利用した特殊詐欺が多発していることから、国際電話の利用休止 申請の周知・支援を実施。また捜査過程で押収した名簿を活用し、同名簿に載っていた人に電話するなどして注意喚起したり、金融機関やコンビニエンスストア等と連携し、高齢者が高額の払戻しを認知した際に警察に通報するよう促したりなど、さまざまな取り組みを行っています。

 

もちろん、家族としてもできることは色々とあります。頻繁なコミュニケーションもそのひとつ。憎むべき犯罪から家族を守るためにも、積極的に声をかけていきたいものです。

 

[参考資料]

警察庁『特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』