年金の受け取りを「65歳から」始めるか、「繰下げ受給」で遅らせて増額を狙うか――。多くの人が悩むこの選択には、人生設計や家族の状況、健康状態など、さまざまな要素が影響します。実際に繰下げ受給を選んだ男性たちの体験談を通じて、年金受給のタイミングが老後の安心や後悔にどのように関わるのかを考えてみましょう。
もう、あなたとは他人なので…月収54万円〈48歳のサラリーマン夫〉を奈落に突き落とした〈45歳の冷酷妻〉。180日後に起きた「衝撃の結末」 (※写真はイメージです/PIXTA)

あとは名前を書いて出すだけの「離婚届」も用意していたが…

別居生活のあと、彩香さんは離婚届を用意。あとは健司さんが署名して提出したら、離婚成立――その状態のものを健司さんに預けていました。「すぐに判を押して出してやる」と思っていた健司さんですが、孤独感を前に決心できずにいたといいます。

 

こうして別居から半年がたったある日、彩香さんから連絡。「離婚届はどうしたのか?」という問いかけに、「まだ持っている」とポツリというしかなかったといいます。すると、彩香さんからひと言。

 

「うじうじしているくらいなら、戻ってきたら」

 

思いもしない言葉に、健司さんはただただ驚いたといいます。「子どもたちは来年には受験を控えています。だから勉強に集中してほしいのですが、夫のことが気になるみたいで。役に立たない夫でも、子どもたちにとっては父親なんですね」と彩香さん。子どもは、どこか寂しさを覚えていたようだといいます。

 

「私のなかで整理できているわけではありません。ただ子どもたちのことを優先しただけ。戻るのではなくやり直すのであれば、自分も納得できると思っています」

 

夫婦別居からの再出発……珍しいことではありません。株式会社Clamppy『別居と夫婦関係の変化に関するアンケート』によると、38.9%が「離婚」という結末に至り、17.9%は「別居を継続中」。残り43.2%は「同居を再開した」と回答しています。

 

調査によると、別居を切り出したのは「女性から」が65.9%と圧倒的。また別居後、配偶者に対して愛情や未練があったと回答したのは、男性が56.7%に対し、女性は39.3%と、男女によって大きな差が生じています。また別居に対し「精神的に楽になった」は男性が23.0%、女子が31.7%。「孤独を感じた」が男性29.8%、女性が13.2%と、女性のほうが別居によるメリットを感じているよう。

 

それでも夫婦は色々とあるのでしょう。「別居して配偶者との関係はどう変化したか」の問いに対して、「良くなった」が男性35.0%、女性31.2%と回答。別居が夫婦関係の再構築のきかっけになっているようです。

 

「別居して何か変わったかといえば、それほど変わっていない」と彩香さん。それでも「家族にとって、夫は大切な存在だった――意外な発見です」と、淡々と語ります。

 

[参考資料]

株式会社Clamppy『別居と夫婦関係の変化に関するアンケート』