(※写真はイメージです/PIXTA)
あとは名前を書いて出すだけの「離婚届」も用意していたが…
別居生活のあと、彩香さんは離婚届を用意。あとは健司さんが署名して提出したら、離婚成立――その状態のものを健司さんに預けていました。「すぐに判を押して出してやる」と思っていた健司さんですが、孤独感を前に決心できずにいたといいます。
こうして別居から半年がたったある日、彩香さんから連絡。「離婚届はどうしたのか?」という問いかけに、「まだ持っている」とポツリというしかなかったといいます。すると、彩香さんからひと言。
「うじうじしているくらいなら、戻ってきたら」
思いもしない言葉に、健司さんはただただ驚いたといいます。「子どもたちは来年には受験を控えています。だから勉強に集中してほしいのですが、夫のことが気になるみたいで。役に立たない夫でも、子どもたちにとっては父親なんですね」と彩香さん。子どもは、どこか寂しさを覚えていたようだといいます。
「私のなかで整理できているわけではありません。ただ子どもたちのことを優先しただけ。戻るのではなくやり直すのであれば、自分も納得できると思っています」
夫婦別居からの再出発……珍しいことではありません。株式会社Clamppy『別居と夫婦関係の変化に関するアンケート』によると、38.9%が「離婚」という結末に至り、17.9%は「別居を継続中」。残り43.2%は「同居を再開した」と回答しています。
調査によると、別居を切り出したのは「女性から」が65.9%と圧倒的。また別居後、配偶者に対して愛情や未練があったと回答したのは、男性が56.7%に対し、女性は39.3%と、男女によって大きな差が生じています。また別居に対し「精神的に楽になった」は男性が23.0%、女子が31.7%。「孤独を感じた」が男性29.8%、女性が13.2%と、女性のほうが別居によるメリットを感じているよう。
それでも夫婦は色々とあるのでしょう。「別居して配偶者との関係はどう変化したか」の問いに対して、「良くなった」が男性35.0%、女性31.2%と回答。別居が夫婦関係の再構築のきかっけになっているようです。
「別居して何か変わったかといえば、それほど変わっていない」と彩香さん。それでも「家族にとって、夫は大切な存在だった――意外な発見です」と、淡々と語ります。
[参考資料]