2025年4月の消費者物価指数(CPI)が発表され、総合指数は前年同月比3.6%の上昇と、高止まりの状況が浮き彫りになりました。特に家計を直撃しているのは、食料とエネルギー価格の高騰です。なぜ物価上昇は止まらないのか、私たちの暮らしはどうなるのか、最新データからその実態を読み解きます。
インフレ長期化の兆候か?「CPI3.6%上昇」が映す「家計圧迫」の構造 (※写真はイメージです/PIXTA)

インフレ定着か、調整か…転換点にある日本経済

このような全体的な価格上昇のなかで、唯一、物価上昇を抑制する方向に働いているのが「教育」です。特に高等学校の授業料(公立)は、前年同月比で-94.1%と大幅な下落を示しており、これは政府の無償化政策の影響とみられます。教育費の寄与度は-0.16ポイントと、総合指数に対して明確に抑制効果をもっているといえるでしょう。

 

日本はこれまで長くデフレ環境にありましたが、一転、物価が持続的に上昇する局面を迎えています。このようななかで家計と企業の双方が対応力を問われる場面が多くなっています。企業が持続的に価格転嫁を行えるか、そして労働市場での賃上げが継続できるかが、インフレ定着の成否を大きく左右するといえるでしょう。

 

同時に、政府は「電気・ガス料金負担軽減支援事業」などの補助政策をいつ、どのように縮小するのかという判断も求められています。仮に補助金が段階的に廃止されれば、実質的なエネルギー価格がさらに上昇し、CPIに与える影響も拡大しかねません。

 

2025年4月の消費者物価指数は、一見すると前月比で小幅な動きにとどまったように見えますが、その内訳をみると、食料品とエネルギーの価格が高止まりし、サービス価格にも波及している点で「持続的インフレ」の兆しが明確になっています。

 

[参考資料]

総務省『2020年基準消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)4月分』