(画像はイメージです/PIXTA)

将来の安定した生活を実現するために「資産形成」は欠かせません。そのなかでも、安定性やインフレ耐性の高さから注目されているのが「不動産投資」です。株式や債券のように日々の価格変動に一喜一憂することなく、長期的に安定した家賃収入を得ることができる点は大きな魅力といえるでしょう。また、相続税対策としても有効で、次世代へのスムーズな資産継承を可能にします。本記事では、そんな不動産投資が持つ強みとリスク、そして他の投資との違いについて詳しく解説します。本記事は株式会社エールのWebサイトからの転載記事です。

株式や債券に投資を集中するリスク

株式や債券など、金融商品だけに資産を集中させることはリスクを伴います。相場次第で大きな損失が出てしまうことがあります。たとえば、4月初頭にトランプ政権が関税政策を打ち出した途端、株価は激しい変動を見せました。1日で株価が大きく下落すると、投資家としては心穏やかでいるのは難しいでしょう。

 

こうしたリスクを回避するには、「卵はひとつのカゴに盛るな」という投資の基本に従い、資産を分散することが重要です。たとえば株式投資をしている場合でも、複数の銘柄に分散したり、日本株だけでなく海外の株式に投資したりするなどもひとつの方法でしょう。

 

また、株式や債券投資以外に不動産投資や金投資などと分散して投資しておけば、たとえば株価が急落しても金相場の値上がりなどといった他の投資で得た利益によって損失を賄うことができますし、不動産の価値が値上がりした場合、不動産売却による売却益を狙うことが可能となります。

不動産は相続税対策に有効

不動産投資は相続税対策としても有効といわれています。その理由としては以下の通りです。

 

相続税評価は時価よりも低い…不動産の相続税評価方法は、土地と家屋で計算方法が少々異なります。土地は路線価か固定資産税評価額により計算します。また家屋は固定資産税評価額がそのまま評価額として扱われます。

 

土地の評価の場合、これらの価額は実勢価格の7~8割程度に設定されているといわれています。たとえば1億円の現金は相続税評価額でも1億円で評価されますが、土地を1億円で購入した場合、相続税評価額は7,000~8,000万円程度となり、現金で保有している場合に比べ、2,000万円~3,000万円分、相続税評価額を減額することができ、相続税対策として有利です。

 

賃貸物件の場合さらに評価額が下がる…アパートの土地1億円と、アパート建物1億円を保有し、そこが借地権割合70%、借家権割合30%、入居率100%とすると評価額は次の通りとなります。

 

・土地の相続税評価額 1億円×(1-0.7×0.3×1)=7,900万円

 

・建物の相続税評価額 1億円×(1-0.3×1)=7,000万円

 

不動産を賃貸することにより大きく評価減することができます。

 

相続税評価上、有利な特例を適用できる…居住用の宅地や賃貸事業用の土地の相続には小規模宅地の特例を適用できます。

 

この特例は自宅用の土地なら80%、賃貸用の土地なら50%、相続税評価額を減額できる制度です。たとえば200㎡のアパート土地1億円を相続して引き続き賃貸事業をする場合、50%の5,000万円を減額した5,000万円で評価してよいという特例です。(居住用等ほかの小規模宅地の特例を適用しない場合)その節税効果は大きく現金で保有しているより大幅に減額できることとなります。

 

【まとめ】
いかがでしたか? 金利が上昇局面に入りつつあり、今後はインフレ傾向も懸念されています。また近年の不動産価格の上昇を踏まえても、資産形成に役立つ投資手段のひとつとして、「不動産投資」は大きな可能性を秘めています。

 

そして不動産投資を始める際には、メリットだけでなくリスクも正しく理解し、信頼できる専門家のサポートを受けながら進めていくのが賢明です。

 

 

宮路幸人

税理士