
独身男性の生命保険加入実態
5年に1度、日本国内に住むすべての方を対象として「国勢調査」が実施されます。前回の調査は2020年に行われました。国勢調査の年齢階級別の未婚率をグラフにしたものをご覧ください。2020年は、2015年に比べて男性では、30歳~34歳が4.7ポイント、35歳~39歳が3.5ポイント増加しています。女性では、30歳~34歳は3.9ポイント、35歳~39歳は2.3ポイントの増加です。男女とも晩婚化が進行していることがわかります。
少し前のデータになりますが、ニッセイ研究所の「独身男性の生命保険加入実態」 をご紹介します。独身男性の生命保険加入率は、20代、30代、40代と年代に伴って上昇しますが、どの年代でも既婚者より低い値となっています。この調査では、独身男性は、遺族の保障という観点からの加入が少ないからではないかと考察されています。
生命保険加入のきっかけについては、20代・30代の既婚男性の1位「出産や子の就学」、2位「結婚」。40代の既婚男性の1位「生活設計」などに対して、独身男性20代は、1位「家族による加入」、2位「就職・親からの独立」です。30代は、1位「保険外交員からの勧誘」、2位「身近な人に勧められたから」。40代は1位「保険外交員からの勧誘」、2位「生活設計をしてみて」と続きます。この調査では、独身男性は、全体として受動的なきっかけが多いと考察されています。
若いうちからライフプランを立て、変化に合わせて調整していく
父親の急死と、日記に綴られた想い。今回の件は、健太さんの心に大きな変化をもたらしました。まさか、あんなに元気だった父親が突然亡くなるなんて想像もしていませんでした。しかし、父親の思いを知ったことで、健太さんは、独身の自分も、いつかできるかもしれない家族のため、そしていま、天国で見守ってくれているであろう父親のためにも、将来について真剣に考えなければならないと感じはじめたのです。
健太さんのように「親の死」など人生の中で大きな影響をおよぼす出来事がない限り、人生設計を考える機会を若いうちに持つことは難しいかもしれません。しかし、「いま」考えはじめることはのちの後悔を防ぐことになり得ます。
筆者は、公的な保障制度や会社の福利厚生制度の概要、さまざまな生命保険の特徴や加入の必要性、将来のライフイベントなどについて、一つ一つ明確にしてみることをお勧めしました。さらに、長期的な予想としてシミュレーションを行うと、今後の変化を「見える化」できます。
まずは、ご自身が将来に向けて安心して暮らせるための生活設計・資金計画を考えましょう。自営業であり所帯を持っていた父親と会社員であり独身の健太さんとでは、リスクへの備え方が異なります。収入や支出の流れを確認し、年金制度や公的医療保険制度、会社の福利厚生制度などについて少しずつ理解を進めましょう。希望する暮らし方にはどのくらいの資金が必要か、資産形成の知識も必要です。
実家のご家族のことについては、帰省したときなどを利用して話し合うのもよいかもしれません。家計の長期的な予想シミュレーションは、一度作成したらそれきりということはありません。家族構成や生活環境などが変わる際には、改めてシミュレーションを行い、見える化するとよいのではないかと思います。
〈参考〉
・公益財団法人 生命保険文化センター
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/805.html
・ニッセイ基礎研究所「独身男性の生命保険加入実態」P7
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/39169_ext_18_0.pdf
・ニッセイ基礎研究所「独身男性の生命保険加入実態」P9
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/39169_ext_18_0.pdf
藤原 洋子
FP dream
代表FP