(※写真はイメージです/PIXTA)
「お金はあって当たり前」高収入夫婦の過信
都内のタワーマンションで暮らす、橋本俊さん(仮名/35歳)と妻の桃子さん(仮名/31歳)は、5年前に結婚しました。2人とも大手企業に勤め、俊さんの年収は900万円、桃子さんは年収700万円、世帯年収は1,600万円を超える共働き夫婦です。
橋本さん夫婦が住んでいる分譲マンションは、「賃貸で家賃を払って、無駄にお金を使うのはなぁ……」と、2人で相談し、結婚前から決めていた物件でした。価格は1億1,000万円。毎月の返済額は26万円です。頭金の3,000万円は、夫婦の両親から1,000万円ずつ贈与を受け、残りの1,000万円は俊さんが用意しました。
「2人で働いているのだから、お金はあって当たり前。でも、これからも物価は高くなるみたいだし、そろそろ投資でも始めようか」近ごろの2人は、仕事で多忙な毎日を送るなか、面倒臭がって先延ばしにしてきた資産運用について真剣に考えるように。
周囲の同僚たちやタワーマンションのラウンジで知り合った同世代夫婦の成功談を聞くにつれ、「自分たちならもっとうまくやれるに違いない……」と、そんな過信ともいえる投資への期待を膨らませていきました。俊さんと桃子さんは、「投資はお金を増やしてくれる便利なツール」と考えていたそうです。
3年前から夫婦そろって始めた株式投資の元本の総額は、1,200万円。ボーナス分ほどの金額を毎年株式投資に充てていました。
2人は、時間に余裕がないこともあって、投資に関する勉強には興味がありませんでした。同僚やご近所さんたちが「儲かった」という企業の株式を購入し、短期間で楽に大きく利益を出そうと考えていたとのこと。そのため、貯蓄のほとんどは株式投資の資金になっています。
株価が上がれば、「もっと上がるはず」と欲を出し、下がれば、「一時的なこと」と楽観視。とりあえず儲かりそうな企業の株式を購入し、根拠のない希望的観測で売買を繰り返していました。