
離婚後、実家に戻り非正規雇用で働き続けた結果
28歳まで事務職で働いていた中村澄江(仮名)さん。寿退社後は、専業主婦として過ごしていました。
しかし、夫婦喧嘩が絶えなかったことで、40歳目前で離婚を決意。子どもがいなかったこともあり、手続きは円滑に進みました。その後、一人娘の澄江さんは実家へ。故郷に戻ったことで、顔見知りも多く、実家近所にある知り合いの個人経営の飲食店でアルバイトとして働くことになりました。気さくな性格の澄江さんは、お客さんからも人気で、店主が代替わりしたあとも働き続けることができました。
澄江さんが60歳になるころ、両親が相次いで他界し、実家での一人暮らしが始まります。それでも飲食店の仕事は続き、時給1,020円で65歳から年金を受け取りながら生活費を補っていました。この時給は澄江さんの住む地域の最低賃金です。ところが周辺にチェーン店が増え、客足は徐々に落ち込んでいきます。
68歳のある日、店主から「店を閉める予定だ」と告げられ、突然職を失いました。
収入が少なくなり、困った澄江さんは生活保護を受けようと、藁にもすがる思いで保健福祉センターに相談へ駆け込みます。ところが窓口の担当からは無表情で「生活保護の財源、知っていますか?」と告げられました。続けざまに「68歳でしたらまだ働けると思いますので、働き口を探してください」「年金も受給されているので、生活保護の支給はできません」との言葉が。澄江さんは目の前が真っ暗になり、身体の力が抜けてしまいました。