(※写真はイメージです/PIXTA)
子供を諦めてから仕事に没頭した妻
Aさんは妻に内緒で検査をしました。自分には子供を作るのに身体的な異常がなく、いまからでも遅くないといいます。さらに、妻に検査をしてみてはどうかと勧めました。経済的な問題はないから必要であれば不妊治療をしようと持ちかける始末。
妻は子供を諦めてから、仕事に没頭し、のってきたところ。いまでは支店の支店長代理となり将来的には支店長と、キャリアアップをしたいと考えていたのです。
「経済的な負担が解消されても私(妻)の身体的、精神的な負担はどうでもいいのか」という妻に、Aさんは、「いまは晩婚が増えていることもあり、高齢出産は珍しくないし、不妊治療にいい病院を探すから頑張ろう」というのです。
同調査によると、不妊を心配したことのある夫婦は39.2%と増加(3組に1組以上)。実際に不妊の検査・治療を受けたことがある夫婦の割合も、22.7%に増加しています(4.4組に1組)。
どうやら再熱した子供の問題を妻は受け入れられないようです。夫は子供を諦める様子がなく、話し合いは平行線に。
妻の決断
妻が子供を諦めた35歳時は、とてもつらい時期でした。当時の夫の言葉が支えとなり、子のいない夫婦を望んだはずでした。妻はもともと生理痛が酷く、婦人科で検査したところ、子宮内膜症と診断されました。医師に妊娠できないとはいわれませんでしたが、妊娠率が低下し、不妊を引き起こす原因となるといわれていました。
精神的、身体的につらくなった妻の決断は……。夫は40歳。まだまだ子供を作るのに遅くはない年齢です。妻は高齢出産できるかもしれません。しかし身体的な問題、仕事の事情、そして当時は子供を望まなかった夫が急変したことによる精神的な負担から選んだ道は、離婚でした。
Aさん夫婦にとって子供の問題は、夫婦関係の継続を左右する問題となり、お互いの主張を譲れなかったようです。Aさん夫婦は、それぞれ新たな道を進むことにしました。
司法統計からみた離婚の動機について、男女とも「性格の不一致」がトップとなっています。
Aさんの離婚に至ったケースから、夫婦にとって「自分の子供が欲しい」という考え方は、経済的、身体的、精神的な問題を総合的に考えることの重要性がわかります。不妊の相談を躊躇するという気持ちはわかりますが、それぞれの専門家に相談し、夫婦関係が悲しい結末とならないよう、よく話し合うことをおすすめします。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表