(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資における収益性を判断する指標として、レンタブル比があります。レンタブル比は住宅投資ではあまり重視されない指標ではありますが、不動産投資に関する基礎的な知識となるため、しっかりと基本的な意義・計算方法を理解しておきましょう。本コラムでは、レンタブル比の計算方法、計算例、目安のほか、レンタブル比率が高い・低い場合のメリットおよびデメリット、レンタブル比以外の指標について解説します。

レンタブル比が高い場合・低い場合のメリット・デメリット

レンタブル比は、その高低によって物件の収益性や入居者の満足度に大きな影響を与えます。レンタブル比が高い場合と低い場合のそれぞれのメリット・デメリットを理解し、慎重に投資判断を行うようにしましょう。

レンタブル比が高い場合

  • 賃貸面積が多いため、賃料収入が増えやすい
  • 投資利回りが向上する可能性がある
  • 共用スペースが少なくなるため、入居者の利便性や満足度が下がる可能性がある

 

レンタブル比が高い物件は、延床面積のうち賃貸可能な専有面積が大きく、共用部分が少ないため、賃料収入の最大化を狙いやすいというメリットがあります。例えばワンルームマンションや賃貸アパートなどでは、できるだけ多くの住戸を配置することで収益性を高められる傾向にあります。

 

しかし、共用スペースを削りすぎると入居者にとっての利便性や満足度が低下するリスクがあることに注意しなければなりません。エントランスや廊下が狭かったり、エレベーターが少なかったりすると、住み心地に悪影響を及ぼします。また、共用設備の不足により物件のブランド価値が低下し、結果的に賃料の下落や空室の発生につながりやすくなることも考えられます。

 

そのため、レンタブル比が高い物件では、共用部分の快適性と収益性のバランスを考慮することが重要です。単純に高いレンタブル比を追求するのではなく、物件のターゲット層に合っているかを意識しましょう。

 

レンタブル比が低い場合

  • 高級感が出やすく、入居者の満足度が向上しやすい
  • 高額賃料を設定しやすい(ブランド価値向上)
  • 賃貸面積が減るため、賃料収益が落ちる可能性がある

 

レンタブル比が低い物件は、共用部分が広く取られているため、建物全体の高級感や快適性が向上しやすいという特徴があります。

 

例えば高級マンションやグレードの高いオフィスビルでは、広々としたエントランスや充実した共用設備が設けられることが多く、入居者の満足度を高める要因となります。ラウンジやフィットネスジム、コンシェルジュサービスなどが備わっていると、物件のブランド価値が向上し、高額賃料を設定しやすくなるのも大きなメリットです。

 

しかしレンタブル比が低いということは、それだけ賃貸可能な面積が少なくなるため、物件全体の賃料収入が減る可能性があることを意味します。

 

特に賃貸経営においては、空室リスクを抑えつつ安定した収益を確保することが重要なため、過剰な共用部分があると経営の効率が悪化する恐れがあります。また、共用設備の維持管理にはコストがかかるため、長期的な収支バランスを考慮することが必要です。

 

したがって、レンタブル比が低い物件では単に高級感を追求するだけでなく、ターゲット層の需要に合った共用設備を適切に配置し、賃料収益とのバランスを取ることが求められます。高級マンションやオフィスビルであれば、高い付加価値を提供しつつ適正な賃料設定を行うことで、安定した収益を期待できるでしょう。

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