不動産投資の際に見るべきレンタブル比以外の指標
不動産投資を成功させるためには、レンタブル比だけでなく、ほかの指標も考慮する必要があります。以下に紹介する要素を総合的に判断することで、より多角的な観点から投資判断を行うようにしましょう。
利回り(表面利回り・実質利回り)
- 表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
- 実質利回り=(年間家賃収入-運営費用)÷物件価格×100
利回りは、不動産投資の収益性を評価するうえで最も重要な指標のひとつであり、表面利回りと実質利回りの二種類があります。
表面利回りとは、年間の家賃収入を物件価格で割った数値で、物件ごとの収益性を比較する際に用いられる指標です。ただし、表面利回りは管理費や修繕費などの運営コストを考慮していないため、実際の収益性とは異なる場合があることに注意が必要です。
そのため、投資判断にあたっては実質利回りを確認するようにしましょう。実質利回りは、年間の家賃収入から運営費用を差し引いた金額を物件価格で割ったもので、より現実的な収益性を示す指標です。
利回りが高い物件は投資対象として魅力的ではあるものの、相対的に空室リスクも大きくなるため、過去の空室率や周辺地域の賃貸需要などにも注意が必要です。
不動産投資における利回りの考え方や、理想的な利回り、高利回り物件のリスクについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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空室率
賃貸物件の収益は入居者を確保できてこそ成り立つため、エリアごとの空室率を事前に把握しておくことが非常に重要です。一般に、都市部の駅近物件は空室率が低く安定した賃貸需要が見込めますが、郊外や地方では空室率が高くなりやすいため、周辺にある学校や企業、病院、工場の場所や規模感を確認したり地場の不動産会社に聞き込みしたりするなど、様々な情報を事前に確認し、慎重に投資判断する必要があります。
空室率の高さは、地域の開発状況や人口動態、雇用状況、大学や企業の移転状況にも影響を受けるため、物件選定の際には俯瞰的・長期的な視点を持つことが求められます。
修繕積立金の積立総額と築年数
築年数が経過すると何らかの設備交換や更新が毎年発生します。また、12~18年程度で大規模修繕工事を繰り返すのが一般的であり、そうした費用に充てられるだけの修繕積立金が確保されていなければ、修繕積立一時金などの出費が発生することもあります。
これまでに計画通りの修繕が行われてきているか、また、今後の計画に合わせた修繕積立金が積み立てられているか、重要事項調査報告書や長期修繕計画などを見て確認することはもちろん、物件の現地を見て管理が行き届いているかを確認することも重要です。
立地(駅距離・商業施設の有無)
物件の立地は、空室率や賃料設定に大きく影響を与えます。一般的に、駅から徒歩5分以内の物件は需要が高く、賃料も比較的安定しやすい傾向にあります。一方、駅から徒歩15分以上離れている物件では、賃貸需要が低くなるとされているため、共用部分を充実させるなど魅力的な条件を用意するようにしましょう。
また、周辺にスーパーや商業施設があるかどうかも重要なポイントです。生活利便性の高いエリアでは、長期的に安定した入居者を確保しやすくなります。さらに、再開発の計画があるエリアでは、将来的に物件価値が上昇する可能性があるため、事前に自治体の都市計画を確認することをおすすめします。
管理費と修繕積立金のバランス
管理費と修繕積立金のバランスも、不動産投資の収益性を検討するうえで重要な要素です。この2つの金額設定が高すぎると実質利回りが低下し、投資対象としての魅力が減少します。一方で極端に低いと、建物の日々の清掃や修繕対策などのメンテナンスが不十分になり、長期的には入居者の満足度や物件としての資産価値が低下する可能性があります。
そのため、適正な管理費を確保し、物件の資産価値を維持できるような管理体制を整えることが重要です。物件を購入したあとも、定期的に管理内容の見直しを行うようにしましょう。