(※写真はイメージです/PIXTA)
葬儀のあとにトラブル続々…家族葬のデメリット
しかし、家族葬を終えた数日後、哲也さんのもとに、伯父や従姉妹といった親族からの連絡が相次ぎました。
「なぜ教えてくれなかったのか」
「せめて顔だけでも見たかった」
いずれも不満や困惑を含んだものでした。哲也さんとしては「家族だけで静かに送ってあげたい」「高齢の親族に無理をさせたくない」という思いから、兄弟姉妹以外には知らせずに葬儀を済ませたつもりでした。しかし、地方に住む従姉妹のひとりは、「小さいころからおじさんにお世話になった。最後にお線香をあげる機会もなかったのが残念」と話し、感情的なすれ違いが表面化していきました。
またまずかったのが、事後報告の仕方でした。「家族葬にしたこと」は伝えたものの、葬儀後の報告が一斉メールやLINEで済まされたため、「軽く扱われた」と感じた人もいたのです。不信感が親族間に広がり、哲也さんとしても釈明に追われることになります。
さらに実家の取り扱いについても異論が続出。相続権は哲也さんら子どもたちにあるので、そのなかできちんと話がまとまれば、何ら問題のないことです。しかし
「実家の仏壇はどうするんだ?」
「私たち兄弟にも想い出のある家なのに」
などと、感情的な声が噴出し、一つひとつにまとめるのに苦労しました。故人と縁の深かった人たちから「話し合いもないまま、勝手にすべてが決められるのでは」と、不信感が高まってしまったのです。
Q.家族葬を行って、後悔はしましたか?
とても後悔した…2.0%
やや後悔した…7.1%
あまり後悔していない…30.9%
まったく後悔していない…60.0%
Q.後悔した点は?(上位3つまで選択)
予想以上に参列者が多くなった…30.4%
葬儀費用が予想よりも高かった…26.1%
葬儀内容が簡素すぎた…21.7%
葬儀社の選択を十分に検討できなかった…19.6%
故人の意思を十分に反映できなかった…15.2%
参列者の範囲が狭すぎた…13.0%
故人とのお別れの時間が十分に取れなかった…13.0%
出所:株式会社ディライト
家族葬は低コストと静かな雰囲気で故人を見送ることができる一方で、親戚間の感情のすれ違いや誤解が生じる可能性は高くなります。一般的な葬儀であれば、葬儀の場やその前後で親族が集まり、自然な形で相続や名義の扱いについて話す機会があります。しかし、家族葬ではそのような場がなかったため、後日書面で通知した際に、「なぜその内容になったのか」「話し合いがなかったのはおかしい」と不満の声が上がることも珍しくありません。相続という観点でいえば、家族葬にするかどうか、その選択には細心の注意が必要です。
[参考資料]