(※写真はイメージです/PIXTA)
父の死去と家族葬の選択
宮本哲也さん(52歳)の父、宮本勲さん(80歳)。10年ほど前に妻(哲也さんの母)に先立たれたあとは、哲也さん家族と同居し、穏やかな生活を送っていました。そして1年ほど前の冬、体調を崩したことで入院。がんが発覚し治療を続けましたが、闘病の末、80年の生涯を終えました
しっかりと心の準備ができていたからでしょう、哲也さんはじめ家族は、穏やかな気持ちで送ることができました。ただ、闘病中の父に対して、核心となることは何も聞けなかったといいます。「葬儀をどうしたいのか、お墓については希望はないのか、財産は……聞きたいことは色々ありましたが、病と闘っている父に、そんなこと聞けるわけがありません。元気なうちに聞いておけばよかったですね」と、ちょっとした後悔を口にします。
【親族の死後困ったことTOP5】
1位「お通夜、葬儀関連」…29.5%
2位「相続や不動産関連」…23.5%
3位「遺品整理関連」…22.0%
4位「行政やサービスなどの手続き関連」…12.0%
5位「その他」…7.0%
出所:株式会社林商会
まず、考えないといけないのは葬儀のこと。晩年は医療費もかさみ、月15万円ほどの年金では賄うことができず、貯金を取り崩していったこともあり、勲さんの銀行口座には300万円ほどしか残っていません。「このあとの遺品整理やらなんやらで、お金がかかるかもしれないので、豪華な葬式にするのは私は反対でした」と哲也さん。妹や弟も同じ意見だったこと、また勲さん自身、あまり派手なことは好まず、どちらかといえば人見知りな性格だったこともあり、家族だけが参列する、こじんまりとした葬儀にすることに決めました。
「いいお葬式だったな」
肩ひじ張ることのない雰囲気のなか、家族で思い出話に笑って泣いて父との最後の時間を過ごす……葬儀は本当に満足できるものでした。規模を抑えることで、費用も抑えることができ、総額60万円ほどで勲さんを送り出すことができたといいます。