
住宅ローン返済、子どもの教育費…支出が増える40代サラリーマン世帯
池田健太郎さん(47歳)は、都内の中堅企業に勤める、自称「ごく普通のサラリーマン」です。温厚な性格で、周囲からは「いつもニコニコしている人」という印象を持たれています。妻の香織さん(43歳)とは結婚18年目。高校生の長男と中学生の次男に恵まれ、4人家族で幸せな日々を送っています。
池田家の家計は、基本的にパート勤めの香織さんが管理。健太郎さんは毎月、香織さんから決められた額のお小遣いをもらっています。健太郎さんの月収は45万円、手取りは35万円。そこに香織さんのパート代、月8万円ほどが加わります。10年前には戸建てを購入し、月の返済額は12万円ほど。残ったお金で生活費のほか、将来のための貯蓄、子どもたちの教育費のことも考えて、しっかりと家計をやりくりしています。
子どもたちが成長するにつれて、教育費は年々増加。健太郎さんも、自分の使えるお金が少しずつ減っていくことを感じていましたが、「子どもたちの将来のためだから」と、特に不満を口にすることはありませんでした。
しかし、ある日のこと。香織さんから、突然こう告げられました。
――健太郎さん、ごめんね。ちょっと家計が厳しくなってきたから、あなたのお小遣いを減らしたいんだけど
現在の健太郎さんのお小遣いは、月4万円。それを、なんと半分の2万円にしたいというのです。さすがの健太郎さんも、これには驚きを隠せません。これまで、香織さんに家計を任せきりにしていた健太郎さんですが、今回の小遣い減額には、さすがに我慢の限界でした。
――えっ、2万円!? ふざけるなよ、俺が稼いできた金だぞ!
結婚18年目にして、初めて香織さんに声を荒らげてしまいました。香織さんは、健太郎さんの剣幕に少し驚いた様子でしたが、冷静にこう返しました。
――じゃあ、子どもたちに『大学は難しい』っていえばいいの? あなただって、子どもたちにはできる限りの教育を受けさせてあげたいと思ってるんでしょ?
香織さんの言葉に、健太郎さんは何も言い返すことができませんでした。子どもたちの将来を考えると、自分の小遣いのことなど、我慢するしかないと思ったのです。