(※写真はイメージです/PIXTA)
応募社数は50社か、100社か…数えるのもバカらしい
定年を機に退職し、新たな活躍の場を探し始めた吉田さん。しかし、現実は甘くありませんでした。求人に応募しては書類選考で落とされ、面接に漕ぎ着けても不採用通知が届く日々。定年前に転職活動を始めたものの、結局仕事は決まらないまま、最後の出社日を迎えてしまいました。
――恥ずかしながら、まだ転職活動中です(笑)
最後の挨拶で後輩社員たちの笑いを誘った吉田さんでしたが、心のなかでは焦燥感が募っていました。応募社数は50社、100社…もはや数えるのもバカらしくなるほどです。それでも選考に進めたのは、ほんの数社。そこでも縁がなく、無職の状態が続きました。
定年時に受け取った退職金は2,400万円。老後を見据えてコツコツと貯めてきた預貯金もありました。しかし、収入がない状態が続くにつれ、貯金が減っていくのは大きなストレスでした。「これまでの経験やスキルを活かせる仕事がしたい」と再雇用を選ばなかったプライドは、今やボロボロです。
――自分の何が悪いのか……
ある日、ハローワークで転職活動がうまくいかないことを相談すると、事務職は人気が高く、倍率は100倍以上になることも珍しくないといわれました。「もう少し幅を広げて仕事を探されては?」と勧められましたが、そうなると、経験やスキルを活かすことは難しくなります。
――転職なんて、すぐに決まるものだと思っていました。本当にバカな選択をしました
定年退職から半年後。吉田さんの姿は、とある居酒屋にありました。仕事帰りの一杯を楽しむためではなく、店員として働いていたのです。
――初めての接客業なので、苦戦ばかりです
「何回呼んだんだと思ってんだよ!」客から罵倒されることもしばしば。それでも吉田さんは、「外国人のお客様も多いので、そんなときは英語が活かせます」と笑います。英語を活かせる仕事がしたかったのかと思いきや、そうではないといいます。
――次の仕事が決まるまでの繋ぎです。無収入の状態には、どうしても耐えられなかったんです。相変わらず書類選考には落ち続けていますが、転職活動を続けないことには可能性はゼロなので
Indeed Japan株式会社によると60歳以上を積極採用している求人割合は、過去5年間で2020年をピークに大きく減少。2024年9月とピーク時である2020年7月の求人割合を比較すると、23.7%にとどまるといいます。それだけ、60歳以降の転職は厳しい状況だということ。
誰もが迎える定年。働き続けるなら再雇用か、それとも転職か、大きく二択になります。しかし当てがない限りは再雇用を選択するのが無難だといえそうです。
[参考資料]