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不穏なことが印字された息子への封書…悪いと思いつつも開封すると
そんな穏やかな野村さん夫婦の生活に暗雲が立ち込める出来事が起こります。
ある日、息子宛に届いた封筒。同じ屋根の下に住んでいる子どもとはいえ、40歳手前。あまり首を突っ込むのも悪いだろうと思い、普段は郵便物などに気をつめないようにしていましたが、このときはなぜか目に入ってきたといいます。
封筒には「至急開封」「大切なお知らせです。今すぐ内容を確認してください」と、切羽詰まった何かを感じさせる文言が印字されています。悪いと思いながらも開けてしまったという洋子さん。そこに書かれていたのは「最終催告状」の文字。
――えっ⁉ これは何かの罰なの?
焦って誠さんを呼んだ洋子さん。誠さんも意味がわからず、ただ驚くばかり。とりあえ落ち着いて文面を読んでいくと、どうやら和也さんは再三の通達にも関わらず、国民年金保険料を払っていないらしいことがわかりました。そして「同封の納付書で滞納分全額を指定期日までに納付すること」「納付がない場合、差押えに移ること」が記されていたのです。
その夜、帰宅した和也さんを問い詰めたという野村さん夫婦。「最近、仕事がうまくいっていなくて、保険料が払えなくて」というのが真相でした。今回届いたのは最終と書いてあるとおり、何度か催促の封書が届いていたといいます。しかし、親に知られて心配をかけたくない、という何とも浅はかな理由で速攻捨てたといいます。まるで小学生が悪い点数のテストを隠すように……。
――40歳前にして、成長していない長男に、がっかりしました
このまま無視したら、同居する野村さん夫婦の財産も差し押さえられる可能性があります。これはたまったもんじゃないと、滞納分を肩代わりすることに。まさかコツコツためた貯金の取り崩しが、息子が滞納した年金保険料の支払いになるとは……情けなくて涙が出そうになったといいます。
厚生労働省の発表によると、2023年、最終催告状は17万6,779件に送られ、最終的に3万0,789件が「財産差押」となりました。もしかしたら、そのなかの1件になっていたかもしれない……そう思うと悪いと思いながらも封を開けてよかったと野村さん夫婦。
――無関心を装っていましたが、私たちがいるからいけなかった部分もあるのでしょうね
和也さんには家から出ていくか、ビジネスを諦めて就職するか迫っているといいます。
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